ラ・スコラ死す。

 まさか?と思いましたが、イタリーのテノール歌手ヴィンツェンツォ・ラ・スコラが亡くなりました。
 心筋梗塞みたいで終焉の地はトルコだったそうですが、53才若すぎる死です。
 何度か実演に接していまして、最初はウイーンに行ったとき「ボエーム」のロドルフォと覚えています。
 それから日本公演でのオペラとリサイタル。
 横浜での公演はCDにもなっていまして、この日は調子が良かったのか何曲もアンコールを歌ってくれて、ナポリの輝く太陽のような明るい表現、マントヴァ公、マンリーコ・・・やっぱりこの人はカンツォーネだな、「忘れな草」「オーソレミオ」、高音の時でも声を前に響かせるから聴き手も気分爽快でした。
 私がスコラのベストに挙げたいのは、フィレンツェ歌劇場の日本公演での「ルチア」だ。
 歌姫グルヴェローバばかりに注目が集まっていましたが、録画した映像を今でも時々観ると、間違いなく本物のテノールだった。
 私が最後に聴いたのは、サヴァティー二とシコフと3人で競い合うように歌った「ガラコンサート」。
 あの時は正装コンサートで、仕事でタキシードを昼間着ていたからそのままサントリーホールに向った。
 あれ、ホールオペラの「トゥーランドット」カラフが最後だったかな?・・どっちだったか忘れた。
 最近は歌っていなかったみたいで、2008年がラストパフォーマンスとのこと。
 最後のCDは私の知人がデザインを担当したのだけれど、お礼の手紙があったそうで、それが羨ましく思った。
 そういえば調子の悪い日も聴いたことがありますが、それでも調子の良い時の、笑顔で突き抜けた明るい声が印象に残っています。
 寂しいな。
 合掌。