怖れるに非ず

 夕方から強い雨、新緑はよりいっそう深く濃く黒い輝きを増す。
 気になるニュースが幾つかありまして、一つはこの前に書いたブログでウィーン新婚旅行カップルの話で、今は空の上オーストリアに向い日付を追い越すように飛んでいると思いますが、フィルハーモニーのHPを検索してみたら、彼らが聴く予定になっているガッティ指揮のマーラー「9番」は、なんと作曲家没後100年記念演奏会で、間違いなく本気のウィーンフィルだろうから大袈裟でもなんでもなく人生の大きな思い出になるだろうなということ。
 偉大なる元音楽監督100年の命日なのだから恐らく録音録画されるのだろうし、そのうち我々も聴けるかもしれませんが、実演とディスクでは月とすっぽんである。
 こういう条件が整えば死者の魂が蘇るかもしれない。音楽好きはそんなことを考えたりする。
 しかし、次のニュースはホーキング博士の天国は無い発言で、なんでも「天国や来世は存在せず、暗闇を怖れる人間の架空の世界・・」だそうで、そんなことは解っちゃいるけれど確認のしようがないのだから、せめて夢を見させてはくれないだろうかとやや不満である。
 それで、一番笑えたニュースは、住宅支援機構の元室長52才が数百万円の賄賂を受け取った実にけしからん話なのですが、この男は無類のオーディオマニアらしくそのお金で高額なスピーカーを買っていたそうな。
 タンノイかな?アルテックかな?
 私は考えた。
 残された人生について。
 「暗闇を怖れるに非ず、我時を求めん。」