残酷な言葉

 NHKの松本和也アナウンサーが体調不良から「のど自慢」の司会に代役をたてたそうで、風邪かな?ところが心身のバランスが、つまり鬱の可能性があるという記事を読んだ。
 これは正式にNHKが発表したのではないので記事だけがおかしな方向に独り歩きする懸念があって不安なのですが、数年前に見た番組で、このアナウンサーは相当悩んでいるな・・と感じていたので、どこかで「ああ、やっぱり」と思いました。
 その番組とは、小説家?(テレビに出すぎの気どったコラムニストみたいで私は嫌い)石田衣良さんが3人のアナウンサーと順番にアポを取りながら互いの思いを語り合う形で、時にアナウンサーがインタヴューされる側に立つ場面も生じたりして面白い構成だった。
 対象は松本アナ、住吉アナ、有働アナの3人で、細かな内容まで憶えていないけれど、松本さんとは確か石田さんの自宅内で真面目な仕事論、住吉さんは下町を散歩しながらの楽しい雑談、有働さんと渋谷駅前のホテル夜のバーが舞台で悩み相談みたいな展開。
 確かに記憶している会話が2つあって、1つは番組の最後にプロデューサーが石田さんに「もう一度会ってみたいのは誰ですか?]と質問し、「やはり有働さんですね。一番悩んでいるみたいでしたから。」それで別テイクで有働さんの言った「インタヴューって何?」自問自答している姿が印象的だった。
 もう1つが松本さんなのですが、不確かな記憶で趣が違うと思いますが以下のようなやり取り
 石田「どうしてフリーランサーにならないのですか?」
 松本「自信が無い、勇気が必要」@すいません、どうしても思い出せないけれど如何にも動揺しているイメージで、この番組はリハーサルが無かったのだな。
 石田「フリーになると、空が青いですよ。」・・これは真面目な人に対して残酷で失礼な言葉だと感じた。
 今思えばあの時一番楽しそうに過ごしていた住吉さんがこの春からフリーになった。
 ただ知的からは程遠い短絡的な過ごし方で、誤解されたら嫌なのですが、けっして批判ではなくあくまで住吉さんの明るい性格に由来する話で、私は彼女が好きだ。
 兎に角、松本さんがとても心配になったのです。
 あれ以来、いつもは見ていないけれどMCしている「英語でしゃべらナイト」なんかで一生懸命トークしている松本さんが気になっていたし、無理されているのではと思い出した。
 まして、「のど自慢」の仕事は想像しただけで息苦しくなるのは、毎回違う場所に出かけ生放送で時間の尺を気にしながら相手は素人ばかり大勢、ゲストに対しても気を使う。
 大変だと思う。
 フリーになればギャラは上がるが保障が無くなり、それが良いのか悪いのか、どうなのかな。
 自由とは全て自分の責任で決断し行動し結果を出すことで、束縛されることから解き放たれ言論、表現、思想を表明できる。
 私は実力も無いのにフリーになって良かったと思っている。
 深刻な問題なのかな。
 それでも空が青いのかどうか、私には曇りの日は灰色にしか見えない。
 石田さんの無防備な発言にイラっとした、まずいオヤジギャグだ。
 インテリを気取りお粗末な言葉ばかりの文化人?
 そんな社会から痛みから解放されたい。