歯を抜いて炎症で歌えなくなったテルラムント

 今朝もNBSのHPをチェックする。
 書庫は引き続き「社会の話」ですが、今回のオペラは最早音楽を超越し社会的な問題。
 なんとテルラムント役のシュトルックマンが来なくなったと記事になっていた。
 元々シュトルックマンは来日メンバーに入っていなかったのですが「本人の強い希望」でテルラムントを歌うっていうので、軟弱なテノール歌手が次々とキャンセルするなか流石ヘルデン・バスと思っていたのに、歯を抜いて炎症で歌えないとかダサイ理由で駄目になった。
 それから「ロベルト・デヴェリュー」のデヴェリュー役と公爵役が降板した。
 この2人に関しては最初から知らない人なので、「残念」だとか「代役はこの人だから嬉しい」なんて気分にはならないし、実情として大きなニュースかもしれないけれどオペラの歴史から見れば鼻くそみたいなものである。
 グルベローヴァが歌う!
 これ以上何を望むのだ。
 そんな中、急きょローエングリン役に抜擢されたヨハン・ボータが無事来日と写真付きでツイートされていた。
 相変わらずのオニギリみたいな見事な体型で、どう考えてもローエングリンには見えない。
 これから急いで衣装合わせらしく「そりゃそうだろうな」と思った。
 スカラ座アイーダ」以来2年ぶりの来日とのことで、1幕出だしのアリア「清きアイーダ」で声が引っ繰り返った記憶が蘇り少しだけ不安が過ぎる。
 白鳥の曳く小船が重さに耐えられることを祈る。
 しかしyoutubeでボータのワグナーを聴いてみると実に素晴らしく、特にバイロイトジークムントなんか感動的で、あれだけ歌えるテノールはボータしかいないのじゃないかなと思うくらい。
 カウフマンのメトでのジークムント映像はもの凄いパワフルな歌唱で圧倒されますが、ワグナーには繊細さを要求したくなる個人的な好みがあって、どちらかといえばボータの将来に期待したいし、人気のフォークトでは如何にも軽くて心許無い。
 しかしこうなってしまうと、もう何だか解らないが、結果的にはバイエルンボローニャ並みの代役オンパレードということでしょうか。
 数え方に間違いが無ければ、両方あわせて主役クラスの歌手が9人急病(うち1人死亡)なのですから、回復を祈る。(たぶん大半は仮病なのでしょうが・・)
 それでもボータ、マギー、マイヤー、それからグルベローヴァが来日したとは嬉しい。
 もしキャンセルしたメンバーが逆だったらオペラが成り立たないのですから。
 
 @来月ダンサーのシルヴィ・ギエムが日本公演をするのですが復興支援の舞台もあって、彼女は「人間としての義務ではなく、私の意志・・」で踊ると言う。
 惚れた・・・
 ベジャール振り付けの「ボレロ」がある。
 しかも福島公演もあるのですから、これは凄い!
 そういえば私は高校時代、下敷きの中にギエム「白鳥の湖」の写真を挟んでいた。
 東京文化会館公演の優先予約が夜だったので予約ができなくて、一般発売駄目もとで挑戦してみるかも。
 私はギエムにトウシューズに薔薇の花束を添えて贈りたい。 
 ただのトウシューズではない、「真紅のトウシューズ」である。