奇跡の歌声グルベローヴァ

 9月23日バイエルン国立歌劇場日本公演初日はドニゼッティ「ロベルト・デヴェリュー」
 グルベローヴァはやはり世界最高の歌姫だった。
 年齢からくる声の衰えを少しだけ心配していましたが、第一声でくだらない不安は消え去り我々はドラマの中に入り込んでしまった。
 今回は関係スタッフが100名あまり直前に来日を拒否したとか、キャストも代役が数名出たりと不安を煽るようなニュースがあっただけに、大丈夫とは思っていても心のどこかに引っかかってはいました。
 しかし、バイエルンオペラはその程度で揺らぐような団体ではない事が証明されたようで嬉しかった。
 具体的な内容については後日改めて記したいのは、明日仕事なので気持ちにゆとりを持たせた状態で文章化したいと思います。
 ただ大袈裟でもなんでもなく「想像を超えた奇跡的な舞台を観た!」とだけお伝えしておきたい。
 私は気がついたのですが、可能ならこれからは一流の演奏家だけを聴くことにしたいと。
 NBSの主催はやはり素晴らしいです。
 終演後楽屋口に人だかりがあって、別にサインを求めるつもりもなかったのですが、以前グルベローヴァさん本人と話す機会があって(参考ブログ、書庫「音楽の話」5月19日「重要なお知らせ」夭折のテナー山路芳久さんについての記事。)、そんな経緯から「あちらは私のことを憶えていないだろうけれど、やはりご挨拶をしたい」と考え、出待ちをしていたら主催者からサイン会をすると発表があり列の後ろの方に並んでみた。
 ラッキーなことに通訳の○○さんが歌姫の隣にいらっしゃって、
 「ご無沙汰しています。山路さんのことでお世話になった堀内です。」
 「あらー堀内さんいらしていたの?」
 「感動しました。ありがとうございました。」
 そんな些細なやり取りも直にグルベローヴァさんに同時通訳してくださる。
 お陰で歌姫との会話が成立。
 グルベローヴァさん曰く
 「貴方をよく憶えていますよ。今でも山路さんの件は残念でなりません。どうかご家族に山路さんのお母様にお姉様よろしくお伝えください。今日は聴きに来ていただいてありがとう。」
 そしてご本人が用意してくださったブロマイド2枚にサインをしてくださった。
 日本に来ていただいただけで嬉しいのに、なんてファン思いの優しい女性なのだろうと、感謝の気持ちで泣きそうになってしまった。
 そして、山路さんの母上に電話をし今回のことをお話した。
 「サインを2ついただいたので1枚郵送しますね。グルベローヴァさんが・・よろしく!お伝えください。・・と言葉にしてくれました。」
 「本当?凄いね。今日は最高の日やな、嬉しいなぁ、大阪公演思い出すよ。ありがとうな!」
 グルベローヴァさんにとって山路さんは、ウィーンだけで10数回共演されているし恋人同士の役だってあったのですから深く想い出に刻まれているのだなと改めて感じました。
 しかし終演後あのまま帰らなくて良かった。
 なんだか私の人生の中での数少ない「良い行い」のような気がします。
 しかし、「グルベローヴァがよろしく・・」って、考えてみたら、あまりに凄い状況だからプレッシャーに押しつぶされそう、興奮して昨日はなかなか眠れなかった。
 ということでオペラの感想については次回にします。