お宝公開 その3 優しき歌姫グルベローヴァ

 音楽を聴きお酒を飲んで深夜に帰宅。
 音楽会のレポートは後日。
 
 動画は1980年のウィーン国立オペラの「こうもり」第2幕からグルベローヴァの歌うアデーレである。
 
 先日、今秋の同歌劇場日本公演のE・F席の発売がありました。
 当初はマエストロ小澤が「スペードの女王」を振る予定だったのですが、1年間の休養発表があり演目はシュナイダー指揮の「フィガロの結婚」に変更になった。
 しかし私が最初から狙いを定めていたのはグルベローヴァ主演の狂乱オペラ、ドニゼッティアンナ・ボレーナ」である。
 これまで何度実演に接してきたのか分からなくなってしまっているのですが、今回の舞台が日本では最後となる。オペラだけではなく、コンサートもしないというから悲しい気持ちになる。
 コロラトゥーラは一般論として40歳前後までと言われているけれど、いまだにこの人を超える歌手はいないような気がしている。アデーレの動画は30年以上前だ。現在はさすがに声質に変化があるものの、それでも超絶技巧で聴衆を魅了し続けている。
 縁あってお話ができて、夭折のテナー山路芳久氏のお母様とお姉様をグルベローヴァに紹介することができた。山路さんはウィーンとバイエルン専属歌手時代にグルベローヴァと何度も共演されている。時には恋人の間柄になっていたのだし、当時としては珍しい東洋人のテナーを強く記憶されているという。
 昨年のバイエルンオペラ「ロベルト・デヴェリュー」の時も終演後に県民ホールの楽屋口でその話になり、「山路さんのお母様によろしくお伝えください。」と優しく声をかけてくださった。勿論その日のうちに電話で報告をしたが、あの日を振り返れば花束でもプレゼントすればよかったと後悔している。
 どうしても私はグルベローヴァ最後の日本公演に行かなければならない。
 
 しかし、チケット代金が「高い!」
 一番安い席でも15,000円なのですから、(ちなみにS席は59,000円)発売日午前10時で全てが決まる。
 普段はおとなしい人が多いような気がするオペラファンも(そうでもないかな?)カーテンコールで狂乱するのだから、金額を気にしすぎるのも小さな話である。
 過去の経験でお客が狂乱したのは、クライバーとルネ・コロとグルベローヴァだけだと思っている。
 カラヤンバーンスタインチェリビダッケでも、スカラ座やメトでも、同じようにスタンディングでの喝采となっていたけれど、なんとなく敬意と感謝と責任感のような意味合いが含まれた距離感ある拍手喝采で狂乱ではなかった。(映像を観るとベームの時もクライバー状態だったみたいですが、そこまで年齢を重ねていないから知らない。)
 とにかく今回オペラの神様は私に微笑んだ。つまりF席が買えたのです。ラッキー!
 でも最後だからS席でも買ったと思うのです。死ぬ時に行けば良かったとか思ってしまったら寂しいじゃないですか。「こんなはずではなかった。」ではなく、「グルベローヴァを聴いた!クライバーの薔薇も、コロのトリスタンも聴いた。人生楽しかった。」と言葉にして死にたい。
 でもいつまでたっても庶民感覚なのは、例えば59,000円を2人で観にいったら=118,000円だから、「N響定期自由席なら78・6回聴けるんだ。」とか計算してしまう。
 ☆歌姫に赤い薔薇を贈らなければ!そう考えよう。「こうもり」じゃないけれど<人生はシャンパンの泡>のようなもの。一気に飲干し「アラベラ」のマンドリカみたいに床にグラスを叩きつけ粉々にする。歌姫に杯を捧げる次のシーンを気にしてどうする。我が人生に祝杯を、一話完結のドラマはまだ続くのです。
 
 今日のお宝はこれ。デスクにいつも置いているのです。
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 ミュンヘンバイエルン国立歌劇場。Rシュトラウス歌劇「ナクソス島のアリアドネ」のワンシーン。グルベローヴァさんと山路芳久さんの、なんともいえない楽しそうな表情をとらえている大好きな写真。サインはグルベローヴァ直筆。わざわざ山路さんの母上が「記念に。ありがとな。」とプレゼントしてくださった。
 喜劇でも悲劇でも良い。1階センターでも5階2列目サイド席でも良い。僕はオペラが好きだ。