Helicopter String Quartet そして変態の記憶。


Karlheinz Stockhausen "Helicopter String Quartet"
 カールハインツ・シュトックハウゼンの「ヘリコプター・ストリング・カルテット」
 2003年のザルツブルク音楽祭の映像だそうですが、深くは考えないようにしたいけれど、こういうの好きだ。
 シュトックハウゼンは数枚CDを持っている。たまに聴いている。でも愛着が有る訳ではなく、自分でも何で購入したのかよく分からない。次回CD交換会があったら持参するかもしれないけれど、深夜に飲む珈琲に添えられたビターチョコレートのような作品なので、ある瞬間に必要に感じられるCDかもしれない。
 
 シュトックハウゼンは9.11の崩れるビルを見て「最大のアート・・」発言をして世間を敵にまわした。
 しかし発言の前後には必ず別の言葉が隠されていて、マスコミがそこだけ取り出すものだから、「あいつはテロを支持している。」みたいに、真意とさかさまの情報だけが伝達された。
 
 そういえば今年のバイロイト音楽祭で「オランダ人」を歌う予定だった人の身体のどこかにカギ十字のタトゥーがあったとかで、別の人に変更になったとニュースを読んだ。若い時にバンドやっていて何も考えないでやってしまったみたい。
 テレビを点けると中国のデモばかりで嫌な気持ちになる今日この頃ですが、あれだって日本のマスコミが過激な部分ばかりを編集しているに違いない。仮にあの過激な内容の大半が真実だったなら、(カメラは真実を写すだろうが)奴らが行なっている行動はデモではなく「テロル」である。それでも我々は横浜中華街を破壊しには出掛けない。何故なら国家として民族として文化が成熟していると信じているからである。
 そういえば神奈川フィルが中国公演をキャンセルしたそうで、こんな状況では仕方がないのかもしれないけれど、僕が金聖響になれるのだったら暴動覚悟で「君が代」を指揮しただろう。
 ところで、動画の叫ぶバイオリン奏者を見ていて、ある演奏会を思い出した。
 随分前の話ですがピアニストのアファナシェフが青山の草月ホールで演奏会して、あれ自作なのか?記憶も曖昧なのだけれど、鍵盤を叩くだけじゃなくて響版の中に頭を突っ込んで<ピアノ線を引掻きながら狂ったみたいに叫ぶ>音楽を聴いた。あれは、「実像として初めて見た変態の姿」だと記憶している。
 
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  正確には、僕にとっての最初の変態は、小学校の図書室にあった江戸川乱歩の少年シリーズ「緑衣の鬼」の表紙絵なのですが、あれは架空のお話ですから、人間としてはアファナシェフが最初ということになります。
 2度目の変態は池袋の東京芸術劇場中ホールに、シュニトケのオペラ「狂人との生活」を観にいったときに、「先生!先生!」と誰かが探しているのに、ロビーの柱から顔を半分だけ出すように様子を見ながら隠れて煙草を吸っている三善晃氏の姿であった。
                     
  もう1人忘れられないのは、やっぱり武満徹氏である。場所はサントリーホール1階の男性用トイレで、何故かその時は僕と2人だけで、しかも「沢山空いているのに、なんでわざわざ僕の隣来るのだ?」緊張して出していたものが途中で止まってしまった。テレビではよく見る人だったし、ステージで挨拶している姿は何度も見ているし、CDも持っているが、隣の便器にいる武満徹は小柄でもの凄く痩せていて、全体的に枯れ枝のように細く、その細い身体の上にボワンと巨大な頭が乗っかっている感じだった。「宇宙人かもしれない。」と思った。今思えばサイン貰っておけばよかったかなと俗な考えが浮かんでしまう。前半で本人の作品が演奏されてステージに呼び出されていて、一緒に出掛けた連れに「さっきトイレで隣だったんだよ。」と意味不明の発言。連れが誰だったのか思い出せない。
 その翌年武満徹は膀胱癌で他界した。
 
 
 酷い文章ですが残します。