音楽を心の友と
僕にはまだ、身体を揺らしながらオーボエを吹く印象が強くて指揮姿を見たことが無いけれど、ホール入口で受取る大量のチラシの中にいつも案内を見つけるから、活躍されていることは知っていた。
演奏はその昔の斉藤秀雄氏が桐朋オケを指揮しているあのモーツァルトに、宮本流大人の色気が加わって自在にドライブしているような音楽で、ドライブっていっても車に例えるなら制限速度40キロ、道幅の狭いバス通りを70キロくらいまでアクセル噴かして信号無視しながら突っ走って、本当に危険な場合に急ブレーキ掛ける感じ。
それで指揮者の唸り声が出現するから笑ってしまいそうになるけれど、グールドと言うよりは元気な時の小澤さんが「ガァー!」とか叫ぶ雰囲気に近く、しかもかなり煩い。
宮本文昭さんて情熱の人なのかと意外な感想を持ったけれど、あまりに斉藤&小澤マインドに近いから(下手したら同じ。)興奮しながらも冷ややかな印象。ただシティフィルの弦はCDで聴く限り素晴らしいと思いました。
この本を買いました。11月には店頭に並んでいたようだ。やっぱり定期的に普通の本屋さんに行かなければいけないのは、時代は加速しながら情報発信しているのに、「今日は寒いから猫たちと一緒にぬくぬくしながらダラダラしていよう。」では馬鹿になってしまう。本屋に取り残されたら僕の明日は無い。
ああ、「音楽を心の友と」・・これは完全保存版である。
白石美雪さんとの対談には国営放送では紹介できないようなユニークな会話が出てきたり実に面白い。
例えば、「読売はジャイアンツが勝ちさえすればいいんで、他の原稿はどうでもいいのか・・」
「岩波というところは、ご承知の通り誰も読めないような変な哲学書だっていいんです。東大出であれば・・・」
もちろん対談には前後関係があるから、このように文章の一部分だけ取り出したら世の反感をかう状況になりかねませんが、さらっと本音を言葉にできるっていい。
僕も真似をしよう。批判されても気にしない。いつだって、こういう場合は形から入ればいい。
話は飛びますが、日曜日にEテレで勘三郎の追悼番組がありました。
河竹黙阿弥の傑作「髪結新三」
粋な表現天下一、夢中になって見入ってしまった。