12月19日の「学生王子のセレナーデ」

 12月19日は「涙の日」
 山路芳久さんのご命日、あれから24年が経過しました。
 このCDを聴いた。「ウィーンによろしく 山路&ホリディ・メモリアル・コンサート」
 山路さんが歌う「学生王子のセレナーデ」(岩谷時子さん訳詩)を聴いていると涙が出そうになる。
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 亡くなる1年少し前1987年9月に行われたメラニー・ホリデーとのジョイントリサイタルで、演奏は東京フィルハーモニー、指揮は湯浅卓雄さん。これは当時テレビでも放送され、古いビデオテープも所有している。
 CDはカメラータ・トウキョウから発売されていて、おそらく現在でも購入可能だと思います。
 オペレッタ中心の演奏会は「こうもり序曲」から始まり、ジーツィンスキー「ウィーン、わが夢の町」・レハール「ヴィリアの歌」・「君はわが心のすべて」等楽しい曲ばかり。
 華やかなメラニーの歌と踊りが観客を夢中にさせたステージでしたが、山路さんの素晴らしい歌唱は勿論のこと、陰で支える湯浅さんが実に頼もしい。
 それが動画の場合より明確に理解できるのは、例えばカールマンの「ウィーンによろしく」やロンバーグの「学生王子のセレナーデ」で山路さんの呼吸にぴったりと合わせながら指揮をする職人的力量が魅力的で、聴いていてなんだか感動してしまうのです。
 
 現在の湯浅さんは海外にいることのほうが多いのか?特に関東でステージに立つことがあまりない。
 数年前に横浜で神奈川フィルのステージに立たれ、僕は普段あんまり聴かないエルガー交響曲がメインだけれど、前半がメンデルスゾーンのVn協奏曲だったから、憧れでもある「呼吸合わせの職人技」が見てみたくなり、みなとみらいに向かったのでした。
 そしたら不思議な現象が起ったのは電車に乗ろうとした時の携帯の着信で、なんと山路さんの妹○子さん(三重県在住)からで、「今な横浜にいるんやけれど、これから会えへん?」 こういう偶然は実に奇妙であるが面白い。
 「では、みなとみらい駅の改札にお越しください。」ということになり、結果として一緒に演奏会を聴くことになったのでした。
 たまたま東京でお仕事されているご親族のお家に遊びに来られていて、何となくお電話くださったそうですが、指揮者が湯浅さんだと伝えたら吃驚されていた。その日、神奈川フィルは爆演のエルガーでクラクラした。
 終演後、「湯浅さんに会いたいですね。」・・「会ってくれへんやろ。」・・「思ったら行動です。交渉しましょう。」
 僕は神奈川フィル関係者らしき人を捕まえて、「マエストロに会わせてください!!」と言葉をかけたら、「わ、わ、わかりました。」と返事をしてくださり、なんとそのまま楽屋に案内された。
 普通は出待ちが常識かもしれないけれど、正攻法が正解だろうし気持ちが強ければどうにかなるもの。
 「山路さんのお姉様です。」と僕だって初対面のマエストロに紹介したら、「えっ、そうなんですか!お越しいただきありがとうございます。」そして、「メラニーとのコンサートは素晴らしい思い出です。本当に録音しておいて良かったね!」と湯浅さんは別の人に話しかけた。僕は「この人誰?」と思ったら、この日何回目の驚きだったのかもう解らないけれど、なんとカメラータ・トウキョウの社長だという。これには本当に吃驚した。
 更に驚いたのは、突然マエストロが、「空に咲く花か 白き月影 鳥も声をひそめて こよい夢のよう♪・・」と「学生王子のセレナーデ」を歌いだした。
 この人は音楽を食べながら生きているんだと思った。
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 CDにサインしていただいた。
 サインをもらえるかな?確信があったわけではないのですが、ブラームスシューマンではなく、このCDを鞄に入れて出掛けたことが不思議でならない。ちなみに山路さんと湯浅さんは同い年。
 今年もご命日に合わせてお母様宛にコーヒーを送りました。毎年コーヒーにしているのはお客様も多いみたいで便利とのことだから。そろそろ到着したかな。
 
 夕方、お母様からお電話がありました。
 元気そうで嬉しかった。