Jeremie Rhorerの「宗教改革」
(失礼しました。ロレールでした。)
先日5番が最も好きなシンフォニーであると書きましたが、個人的な思いだけれど、今回ばかりはかなりいけている演奏だと思ったので紹介させていただきます。
だからといって、この人の指揮姿はとりたてて魅力的とも思えないし、内容的にも尖がった部分のない普通のメンデルスゾーンなのだけれど、なんとなく自分の頭の中で元々鳴っている理想の音楽があるとしたら、恐ろしいほどそれに近い。
元々の理想と申しましても、いつかどこかで聴いて学習したはず。どうしても人間って思い出を美しく彩りたい欲求があるから、本能的な(勝手な)美化かもしれない。
ただ最近変なことばかり考えていて、美化されるなら良いけれど、記憶ほど不確かなものはないと感じていて、ありえない話だと認識しつつ、未来の出来事を記憶している可能性だってあるように思っている。
アホだと思われるのが嫌なのでいちいち症例は書かないが、稀にだけれど実際に起こる。
この音楽の場合、幾つも訪れるけれど、特に第1楽章の9分40秒辺り「ドレスデンアーメン」前の少し長めの休止符等あまりに記憶と合致するから、何度かリフレインし馬鹿みたいに都度戦慄。
第3楽章を聴くとき、このような美しい世界をまだ見ていないと思った。
トーマス・マンが「その目で美を見た者は死に捧げられている」と言葉にしているが、きっとこんな世界かなと想像。見たなる形容は音楽には適さないけれど特殊な画像を思い描く。
終楽章への流れが素晴らしい。もう泣きそう。
自分がこの曲をなんで好ましく感じているのかは謎であり説明すらできない。
Jeremie Rhorerって完全ノーマークで、経歴もなにも知らないが歌心のある人だと思った。
それとも音楽以外の知識も豊富なのか、久しぶりにヘッセの本を開いたような気持ちになれる。
若手の活躍は喜ばしいこと。
一人旅がしたい今日この頃。