本を拾った・・その2

 睡眠導入剤の効き目が優れているのかいないのか、呑めば眠れるけれど約5時間後には目覚めてしまう。
 どうしても二度寝が不可能なので何時であろうと仕方がないと朝の作業を始める。
 顔を洗い午前中用の薬を呑み、ヘンゲルブロックが演奏した「エリア」を聴きながら珈琲のハンドピックが昨日の行動。朝から宗教音楽をBGMに豆をチェックする自分は頭がオカシイのではないかと客観的には思うが、揃えないではいられない性(サガ)とでも表現したらいいのか、どこかしら快楽中枢と結びついている気がしてならない。
 ピックと焙煎を始めて知ったのは、歪な形状やら虫くいカビ等なんでもいいが、一粒取り除けば一粒分透明度が増し、あとは焙煎が完成している豆にお湯をたらす行為以上に間口が広いということ。
 エリアに続いてアーノンクールマタイ受難曲を聴いたが、ふとカレンダーを眺めたら<29(月)10時サロネン・ジャパンアーツぴあ会員先行販売>「今日だ・・どうにかしなければ!」PCのスイッチをいれて待機すること約15分。 
 開始ワンクリックと同時に最安席が消滅する現実。パートナーから「サロネン様が見えるP席を取れ!」の指令があって、つまり音よりビジュアル優先らしい。この指揮者に関しては二人で出かけるしか道はないみたい。
 結果ブロンフマンとのチャイコフスキー火の鳥と、フィンランディアヒラリー・ハーンブラームスシベリウス2番のP席を死守した。ただ、みなとみらいのP席が想像以上に高額(14,000円)「おいジャパンアーツ・・暴れるぞ!」
 お昼過ぎチケット引き換えにセブンイレブンに向かった。
 途中のゴミ置き場に大量の書物が積み上げられていて、この前は室生犀星全集拾ったけれど、そんな都合よく欲しいものが捨てられているはずはないと思いつつ確認したら驚いたことにスコアだらけ!
 黙って通り過ぎるわけにもいかないから全部持って帰ってきてしまった。(正確には持ったままセブンイレブンに行った。直ぐにゴミ収集車とすれ違ったので間一髪のタイミングだった。)
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 偶然とはいえ感慨深いのは、ブラームスのヴァイオリン協奏曲とチャイコフスキーのピアノ協奏曲、マタイ受難曲も紛れていて恐ろしいほどの共時性にクラクラしてしてしまった。
 嬉しかったのはヴォーカル関係の楽譜が多かったこと。パラパラ捲りつつ♪遥かなるサンタルチア♪とか口ずさむ。
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 夕方近く神経が磨耗したのか身体が動かなくなった。別に寝ていたわけではないが、ただなにもしないでいたら部屋が暗いと気がついた。
 不思議なのはモーツァルト「レクイエム」が出版社が異なる形で3冊あったこと。
 ブックオフで時々感じる「前所有者と価値を見出せない家族」の関係のようなものなのかもしれません。
 ちなみにブラームスのスコアは昭和27年の初版(音楽の友社)だから、たぶん前オーナーが他界して遺族にとっては粗大ゴミの欠片なのかと想像した。
 無駄のない上品な装丁。茶色にやけた紙質。珈琲との相性がいい。
 金木犀の香りが強く、汗ばむほど太陽が照りつけ、それでも初秋の風がひんやりと心地よい日の出来事。