ホロストフスキー死去


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 11月22日 ディミトリー・ホロストフスキーが亡くなりました。
 55歳になったばかり。脳腫瘍の手術、治療の苦しみのなか最後まで歌手人生を全うした。
 何を書いていいかわからず、ブログで取りあげるべきか何日も悩みました。
 でも素晴らしい舞台を鑑賞させていただいた忘れがたい名バリトン。今の持ちを保存したいと考えました。
 どういうわけか、とてつもなく悲しい。
彼の歌には独特の悲哀がある。
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 前に同じ写真を使っていると思いますが、昨年4月ウィーン国立歌劇場での「仮面舞踏会」ライブ動画。この日僕は楽友協会でポスカ指揮のヤナーチェク他を聴き、終演後オペラハウスまで歩いてきたら、ちょうどホロストフスキーが歌うレナートのアリアだった。オーケストラの余韻もなんのその、椅子に腰掛け画面に集中した。
 脳腫瘍が見つかり手術したのが2015年。改めて聴くと少し声にハリがないけれど、現地にいたときはオペラも後半、疲れているのだろう程度の気持ちでした。最後の苦しげながら高音まで歌に幅を持たせ響かせる表現は感動的。
 どうやら余命宣告された時期と重なっていて、何も知らないでいたけれど、このとき彼は病と闘っていた。

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 どさくさに紛れて劇場に侵入(よい子の皆さんは真似しないでください)拍手をおくった。
 オーケストラじゃなく「仮面舞踏会」にすればよかったかなと少し後悔した。
 
 やっぱりうまく書けない。今日は駄目かも。
 仕方が無いから好きな歌を幾つか。
 「黒い瞳

 「オネーギン」のアリア

 「オテロ」の2幕から、楽譜ばかり読んで歌になっていないアラーニャ。もっと勉強してから舞台に上がってほしい。ヤーゴは凄い。「カッシオ!」「まだお立ちにならないでください。」全てが見えるよう。2014年。

 「カルメンエスカミーリョ プロムスの映像。合唱が大英帝国万歳に感じられる。最後の国旗は大サービス。
 神経質に聴いていると普通はどんな歌手でも呼吸するのに、ノーブレス!

 上記で悲哀と表現しましたが、まるでザックスのような孤独が見え隠れするのは何故?

 ロドリーゴもと思いましたが、あれ聴くと泣くのでパスします。
それとリゴレットもアリアが聴けますが、いかにもまだ若い。年齢に応じて理想を目指せる役があるということは、まだ進化の可能性を残した最後だったということ。マクベスファルスタッフ、考えだしたらとまらない。

 そして、葬儀の映像
 家族の悲しみ。
 お嬢様の表情は見ていて辛い。
 集う人々、皆に愛されていたことがわかる。

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 最後に「忘れな草」(Non ti scordar di me)  これはたまらんな。生きていてほしかった。



Non ti scordar di me:
la vita mia legata e' a te.
C' m;e sempre un nido
nel mio cor per te,
Non ti scordar di me.

 私を忘れないでください
あなたは私の人生です
愛の巣は心の中にあります
私を忘れないでください