12・21 (課題)

 フリーの「ぶらあぼ」みたいの以外、数年前からだいたいの雑誌は買わないと決めていまして今年の例外は文芸春秋村上春樹のロングインタヴューぐらい。
 だから「レコード芸術」「音楽の友」は今月も立ち読みしてきました。
 秋に外来の大物演奏会が多かったために評論家各氏の感想が気になっていたのですが、だいたい私と似たような考えだったので安心いたしました。
 数年前にある芸術家で故人、ちょっとしたきっかけでご遺族と知り合い、文章作成の依頼を受け数ヶ月かけ原稿用紙にして数百枚書いたのですが、「売れないアーティスト本は形にできない」と某有名出版社の社長に駄目だしされ、考えてみたら実績も何も無いのにトップとアポが取れただけでも怖いもの知らずの小生なのですが、
故人は社会的版権の問題とそれ以上の複雑な人間関係がネックになっていて、書いている時も気持ちが停滞しそうになったり想像以上の精神力が必要で私生活の手続きが疎かになるくらい大変でした。
 つまり関係者の全てが応援してくれている訳ではなく、ブログみたいな形態でも簡単には公開できない。
 アーノンクールが言葉にしていた「進歩はいかなるものでも喪失をはらむ」を思い出しましたが、それでも私には理解を示してくださる心強い味方もいる。
 今年はかなり休息していたから、そんな自分にいい加減飽きてきた。
 それでも現実には神経が或いは人生が磨耗するかもしれない程大変な課題で、普段の仕事が随分と簡単に感じるくらい。
 引き換えに差し出す事が命に関わるくらいの目標だった時、普通はどうしたらいいものか答えなんか出ない。
 先日トルストイが死の数日前に家出をしたという話をEテレで観ていて、久しぶりに面白い番組と感じた。
 学生時代からあんまり得意な小説家ではなかったけれど、「戦争と平和」を読み返したい気分になりました。