12・16(小澤征爾、大曲に挑む)

 小澤征爾さんとサイトウキネン、ニューヨーク公演初日の様子がニュースで映し出されていた。
 前半は下野さんが担当したのだから完全復活とはいえないと思いますが、兎に角「ブラームス1番」を振ったのですから喜ばしい出来事です。
 今日が確か「幻想交響曲」で最終日が「戦争レクイエム」、つまり少しずつ曲が長くなるから大変ですが、最悪下野さんの代役でしょうから、けっして無理をせずに調整していただきたいものです。
 ニュースの映像は少しだけだったので細かくは何だか解りませんがテンポが以前より遅く、もしかしたら全部で50分近く掛かったのではないかな、それでも奏者達の表情から素晴らしい演奏だったと解った。
 カーネギーホールのお客さんの熱狂は私の苦手な所謂アメリカ的なそれ、「病み上がりなのによくぞ頑張った・・」という少し大袈裟な感じで、その場所にいたらきっと感動したのでしょうが、昔何かのイベントで晩年のローレンス・オリビエが出てきただけで会場がスタンディングの大喝采になった状況をテレビで見たことを思い出した。
 国民性の違いなのでしょうが、小学生の頃に米軍座間キャンプで観た建国記念打ち上げ花火での盛り上がり方も笑ってしまうくらいの凄い感じで、ここでは生きていけないと真剣に思ったもの。
 小澤さんがタクトを取るのは名曲ばかりでしょうが、私はブリテンが苦手なんだけれど、下野さんが振る武満徹や権代敦彦がニューヨーカーにどう届くのか今回の大切なテーマと考えた。
 話は変わりますが、先日自転車に乗り「鎌倉宮」に紅葉を見に出かけ、此処は後醍醐天皇の皇子である大塔宮護良親王を奉斎する神社で、北条氏が攻入った際に首を刎ねられた土牢が当時のまま保存されていて、少しばかりドキッとする気が立ち込めている場所。
 宝物殿を覘くと、山本五十六勝海舟東郷平八郎乃木希典伊藤博文等の書があり、不謹慎にも金額に換算したくなるのですが、飽くまで神聖な気持ちが求められる。
 これだけ寒くなってくると、人は少なく「美しき日本」が感じられてくるのです。