12/29(新国トリスタンとイゾルデ)

 今年の音楽はヤルヴィのシューマンでお仕舞いのつもりでしたが、オペラを観てきました。
 しかも新国立劇場に興味が無いと先日宣言したばかりなのに、知人奥様の母上が他界されたそうでいくらオペラ好きでも聴きに行けないからチケットを買って欲しい、「じゃあ買います!」と即答したのも「トリスタンとイゾルデ」だったからで、人が困っている理由がワグナーなら救いの手を差し伸べたくなるもの、それと安価だった。
 3階サイドの一列目で真下にオケピットがくる辺り、ステージ全体を観るには具合が悪いが舞台がすぐ近くで面白く感じられる。
 昨日は忘年会で夜の寒さから漸く年末を意識し始め、ここでワグナーだとは想像していなかったのだけれど、
兎に角ワグナーがやってきたのだからゲルマンの世界に身を投じるしかない。
 私はプロフィールにもあるように、音楽はワグナーだけで生きていけると思うし今でも問題はない。
 
 トリスタン ステファン・グールド
 マルケ王 ギド・イェンティンス
 イゾルデ イレーネ・テオリン
 クルヴェナール ユッカ・ラジライネン
 ブランゲーネ エレナ・ツィトコーワ
 演出 デイヴィッド・マクヴィガー
 指揮 大野和士  東京フィルハーモニー 他
 以上のように歌手人はバイロイトクラスばかりだから、それなりに期待。
 簡単に説明したい。
 演出はたいしたことは無くて、あんな程度が何時もの新国。
 全てが夜の中で演じられて進行する。
 後方に大きな月があって黄色い月が役者の心象によりオレンジになったり三幕トリスタンが苦悩狂気になるあたりでは深紅に変貌していく。
 だから太陽を昼の光を呪うくだり、演出家の意図では月ではなくて太陽なのかもしれない。
 ステージ上はプールのように水がはってあり、衣装に違和感があるマルケの家来達がじゃばじゃばと水の中を這い回るのだけれど、蜷川の陳腐な劇を見ているようで馬鹿馬鹿しい。
 私はテオリンの歌唱に期待をしていて勿論よかったのですが、S・グールドの多少一本調子だけれど以前のタンホイザーなんかと比べると別人のように声量があり見事に3幕を歌いきったのだから脱帽である。
 それ以上に素晴らしかったのは指揮大野さんの濃厚な表現で、私はこれまで随分沢山のトリスタン実演に接してきましたが、アバド、シュナイダー、メータ、バレンボイム、なんかより惹きつけられた。
 具体的に書きたいのですが、明日仕事なので今日はこの程度で止めておきます。
 17時開演で23時少し前に終演、最終電車で帰宅。