中野でぶらぶら。

 ちょいと用事があり中野に行ってきました。
 以前、北口の迷路みたいな路地突き当たり小さいビルの2階で友人が広告代理店をやっていて、その時は「仕事を2日だけ手伝って欲しい。」あれ以来だから電車で通過はするものの降りたのは実に久しぶり。移転したらしいと噂があったけれど懐かしさから行ってみたら風俗店になっていた。思えばそういう感じのビル。
 あの頃は近くに「クラシック」という名曲喫茶もまだあって、入口でお茶券を買ってから暗い店内に入る仕組みで、最初に訪れた時はスプリングが壊れた椅子でテーブルが斜めで目の前の古めかしいオーディオから大音量でラベルの「ボレロ」。絶対に美しいとは言えない酷い音で我慢しながらボレロを聴いていたら、ぶっきらぼうな応対の給仕が珈琲を運んできた。この珈琲がもの凄く不味くて驚き、2回目からは紅茶にした。香りも何も無い紅茶だったけれど害は感じられなかった。しかしあの珈琲にはびっくりで前後あれだけ不味い体験は無い。
 地方出身の音楽好きは東京の大学に入学したら「まず中野のクラシックに行きたい!」という変わった人も実際にいたのだから有名だったみたいです。私はどういうわけか計3回も行った。珈琲・紅茶・紅茶の順番だった。
 閉店する時は「クラシック」のファンだけではなく街ぐるみで存続を訴え、不思議な事に皆に愛された喫茶店だった。
 あのオーディオは現在別のお店で現役だそうで、其処はどんな感じなのか知りませんが珈琲は前より美味しいはずと想像する。
 中野には「ブロードウェイ」があって、何でその名前なのか意味が解らないけれど不思議なビルである。
 地下は西友ストアで、1階から4階までが怪しい(妖しい?)テナントばかりアニメやフィギュア専門店、オーディオの買取り、自家焙煎珈琲、食堂、古書店等多種多様。ブロードウェイに入ると行き交う人々の種類が手前の商店街と急に違ってくる事に気がつく。そう、ここはオタクの聖地なのだ。
 場違いな所に来た違和感を背負いながら古本屋に向かう。残念ながら一つは休みだった。
 それでも、どの本も神保町より安くて好ましい。
 今日の成果は田村隆一「対談集・泉を求めて」(吉行淳之介開高健と言いたい放題の会話なんかが入っている)それと、清岡卓行萩原朔太郎猫町 私論」両方とも初版で税込みで2冊で1,300円でお釣りがきました。
 帰宅したらオークションで950円だったデュラス「苦悩」が到着していました。
 そんな日でした。