蓄音機ビクトローラ
自家焙煎珈琲の喫茶店を見つけ、しかも蓄音機がBGMというので興味から行ってきました。
内装が綺麗なので新しいお店みたいでした。
珈琲はイタリア製の高価な焙煎機で作られるそうで、いい香りが店内をつつんでいた。
楽しみの一つは、珈琲は職人の技で味が変わることなのですが、今回はちょっと私の好みから離れているけれど、細やかに気持ちの行き届いた拘りが感じられた。
注文したのは、この日のお勧めストレート「ジンバブエ」で、飲みながらマスターは神経質な人なのかなと思った。
肌理の細かい味の粒子が際立つようで、どうやったらこの味が出せるのかな。
多少高めのメニュー設定でしたがレベルが高いから仕方がない。
それでもカップが薄手の陶器で取っ手が持ち辛くて困りました。
あれではブルジョアのマダムが使う機能性より優美さが優先される紅茶用かなと思いました。
珈琲はそんな感じで、自宅でいれたほうが雑多な味ですが安心できるから次があるかは分からない。
それで肝心の蓄音機は数十年前の大きなビクトローラで家具調の見事なもの、まず見て驚いた。
「いいな。」
隣にCDプレーヤー。
これは初めて見たのですが、その辺りの家電量販店ではまず売っていないだろう絶対に高価な製品で、すいませんメーカーも忘れてしまいましたがデジタルのオーラが出まくっているもの。
「いいな。」
そのまた横に真空管アンプでトライオードの20万円くらいのステレオシングルが置かれていた。
「いいな。」
つまりビクトローラなのにレコードではいないのです。
しかし考えてみたら喫茶店でSPを使うならレコードをひっくり返すのも大変だし、まして針を取り替えたり、そんな時間があるはずもない。
「仕方がないか。」
それで音ですが、はっきり申し上げて悲しい音色でございました。
すかすかしていて、例えば電車で隣の人が音楽聴いていて音漏れしてくるあの感じと表現したらご理解いただけるでしょうか。
別の言い方ならもの凄い安いコンポ?低音の鳴らないカーステレオみたい。
しかも流れている音楽が名曲集みたいので、その世界は詳しくはないのですがケニー・Gの次にサイモンとガーファンクルがやってくるようなCDだった。
別にサイモンとガーファンクルが好き嫌いという話ではなく、何で蓄音機をああ鳴らすのかであって、音楽オーディオ好きにあるまじきシステムなのだから、私は驚愕のあまりカップを落としそうになった。
音の原因は解りませんがコードの繋ぎ方や何から調べたくなった。
組み合わせがいけないのでしょうか。
お金をかけて失敗した典型を見たようだった。
それでもオーナーが満足していれば、また良い音と感じるお客様もいるだろうし、私は何も言えないです。