ウグイスが鳴いたからマイスタージンガーを聴いた。

 先週素晴らしい舞台を確かに観たけれど「いつまでも余韻に浸っていても仕方がない」と思考の停滞した己に毎日言い聞かせていたのに、気がつけば日に日に舞台の記憶は薄れ、漸く奇妙な呪縛から抜け出せたみたい。
 インパクトのある作品を完全に忘れることは難しいけれど、人は忘却することで次に進めるのでしょうし、そうでなければ生きていくのは大変な作業であって、つまり事件がある度にいちいち死ななくてはならない。
 それでも今回は1週間以上時間死んでいたみたいなもので、仕事以外は何もしなかった。
 生まれ変わった私は音楽鑑賞。
 1960年のバイロイト音楽祭実況録音盤、ワグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガーハンス・クナッパーツブッシュが指揮したレコードで、さすがに長いから終幕だけ聴きました。
 このレコードはアンプを変更してから初めてだから、重っ苦しいクナッパーツブッシュの演奏なのに何となく初々しい気分で、実演のような音量に設定し暫しスピーカーを見つめていた。
 改めてシャッツグレーバーの性能の良さに驚かされ、これでまともなフォノイコライザーにしたらどうなってしまうのか恐ろしい気分になる。
 そういえばヤフーオークションで残り2日くらいの期限だと思いますが、丁度今シャッツの一番高いプリメインが出品されていまして、さっきまで入札が50人以上入っていたから凄い人気だなと驚いた次第です。
 私もオークション、つまりメーカーから買わなかった後ろめたさがあったのですが、アンプの性能について何度かブログに書き、シャッツグレーバーと検索するだけで自分のブログが出てきてしまう状態になってしまったから無意識のうちに宣伝していたのかもしれない。
 別の言い方するなら、それだけ世間から注目されていないメーカーなのでしょうが、それにしても今回の入札数は多すぎる?プリメインアンプ全部の中で3番目くらいの順位ですから、つまり前後は偉大なメーカーばかりで謎である・・不可思議である。
 メーカー価格10万円がまだ5万円代だからチャンス、気になる人は覘いてみてください。
 それでワグナーですが、後から聞いたら裏山まで響き渡っていたらしい。
 でもお隣のお家は真横にあるわけではないし、気になるのは自宅の上に住んでいる独身男性だけで、その人は昼間は絶対いないから多少大きな音でも全く問題ない。
 家は1つの建物に2世帯、つまり上と下だけの変わった住宅なのですが、上階の住人は規則正しい生活のリズムがあるみたいで、決まった時間に外出し必ず決まった時間に帰宅する。
 そして最近気がついたのですが決まった時間に体操をしている。
 天井がドンドンと音をたてるから何をしているのかな?と奇妙に感じていたのですが、ある日コンビニ帰りの私は二階の窓明かりの中で体操している姿を見てしまった。
 その時、昔読んだ「ノルウェイの森」の最初の方でそういう規則正しい人が出てきたと思い出した。
 私は子供の頃からだらしない性格で特に規則が苦手なので何だか尊敬する。
 可笑しな文章になりましたが、私の復活は「マイスタージンガー」でした。
 ウグイスが今年最初に鳴いた日。