シューマンだけの理想の演奏会における勝手な回答。

 シューマンだけのコンサート考。
 本当に適当な考えですから、興味の無い場合最後まで読まないでください。
 わりと大切な課題かもしれないと思ったのは、昨年ヤルヴィがドイツカンマーオーケストラとシューマンチクルスを成功させ、私も初日の「4番1番」を聴いたのですが素直に感動したのです。
 ただ、例えばブラームスの方が人気者ですから、シューマンしか演奏しない場合は空席も目立つ状況になる。
 そのためどうしてもシューマンはメインのオマケ的な扱いをされ、本質に近づくチャンスが少なくなる。
 以前アーノンクールウィーンフィルと「3番ライン」を演奏し素晴しかったのですが、後半のベートーヴェン「7番」に喰われた印象があった。
 これが歌曲や室内楽の場合であればオールシューマンでも問題なく成立するのは、一般論として優れた音楽であると世間が認めているからで、ところが交響曲となると他の作曲家より劣ると感じている人が多いということ。
 なんとなく解るけれど、しかし、本当にそうだろうか?
 私が一番聴いているレコードやCDは理屈ぬきにシューマンである。
 しかも協奏曲も含まれますがオケものばかり。
 昨年はシューマン生誕200年でしたから沢山の演奏会がありましたが、特別な年だったからであり今後同じような体験はそうあるとは思えないのは、お客が入らないから。
 そういえばN響の定期でマリナーが「序曲・スケルツォ・フィナーレ」「ピアノ協奏曲」「ライン」というプログラムを組み関心を抱きましたが、こんな演奏会は今後無いのではなかろうか。
 でもたまに本気の人もいて、主に海外で活躍している指揮者の湯浅卓雄さんが大阪センチュリー交響楽団とCD化したシューマンチクルスは素晴しい演奏で、私は感動のあまりマエストロが横浜に来た時にサインをもらってしまった。
 なんで湯浅さんはわざわざ大阪センチュリーでシューマンだけを指揮したのか謎でありますが、シューマン好きにお薦めしたくなる非常に珍しい日本のオケのCDであり、世間にさほど注目されていない湯浅卓雄さんだけに私にとって自室で聴くことが密やかな楽しみでもある。
 この人は相当に凄い指揮者で、個人的にはサイトウキネンやベルリンフィルを振らせたいくらいに感じています。
 それで4つの交響曲を本気で聴いてもらうにはどうしたらよいのか、答えは簡単で全部を同じ日に演奏すればいいのであると、私は気がつきました。
 別にショパン全部を演奏するのじゃないから朝から演奏会を始める必要もありませんし、年末に岩城さんやマゼールベートーヴェン9曲演奏したみたいに肉体と精神を酷使しなくてもいいと思うのです。
 1曲ずつ休憩時間を設けながら4曲やれば意義深いように思われる。
 誰が指揮者として理想かは好みの分かれるところで、巨匠である必要性もそう感じないのはシューマンだからなのでしょうが、シューマンが絶対に人生に必要であると思い込んでいる変わり者に取り組んでもらいたい。
 数年前にバレンボイムシューマンだけのプログラムを演奏しましたが、アンコールが「トリスタン」だったから感動的であるけれど、そうなると違うのです。
 アンコールなどはいらない、魂を売ってはいけない、綺麗に纏まってはいけないのです。
 なんて感じです。