負の街とマーラーの映画

 渋谷で上映しているサロネンが音楽担当のマーラーの映画がそろそろお仕舞いになるので、行かなければと思っていたのですが、油断していて今夜しか時間が作れません。
 普通であれば出かけるのですが、明日明後日と大切な仕事があるため躊躇している状態。
 というのも負のオーラ漂う渋谷という街が小生極端に苦手でございまして、しかも金曜日の夜だし、鑑賞するのはいいのですが下手したら明日廃人のようになっている可能性が高いのです。
 渋谷は昨秋にN響定期演奏会に行って以来近づいてもいないのは、誰かが常に誰かを探し続けている喧騒と負のオーラは精神を破壊するから。
 他の映画館でも上映していないか調べてみたら、横浜の黄金町では来週も観れることが解りましたが問題が一つありまして、なんと黄金町では「サロネン・コンダクツ・・」が同時上映されないということ。
 普通に考えてみたら、そんなもの黄金町で上映したところで観に出かけるのは自分しかいないのだろうが、元々マーラーは超苦手な音楽で今回その気になったのはサロネンだったからで、映画としての「マーラー君に捧げるアダージョ」には極めて関心が無いのです。
 しかし重要なことに気がついて、来週黄金町に行けるのは水曜日だけなのですが、つまり水曜の5月18日はマーラーの命日で、しかも没後100年!こういう偶然を大切にしたい気持ちもあり、もしかしたら何か深い意味があるのかもしれない。
 人間の思考なんて単純に変化するのだから、命日をきっかけに小生マーラニアンになっているかもしれない。
 「好きな音楽?・・マーラーだよ。何故って、人生は深いね。うん深い。」
 昨夜とんでもない夢を見まして、永遠に鳴り続けるレコードを手に入れてそいつを起動させたら、大音響で鎌倉中に雑音となり響き渡り、どうにかして止めようと試行錯誤する内容。
 黄金町は好きな街で、これは一般的ではないのは数年前まで外国人娼婦の溜り場になっていて、川沿いには堂々と赤線地帯が存在していたり清潔感は無いが、みなとみらい地区まで歩いていける距離、平成の世になっても吉行淳之介の小説世界が花開いていたのだ。
 完全なる負の街であるが、不思議と居心地が良い。
 勿論その手の場所には入ったことはないけれど、表通りにはお気に入りの古書店があって店主と仲良くなり、無理を承知でマイナーな本を探していただき購入したことは一度や二度ではない。
 今ではその店も健全な六角橋商店街に移転してしまって、ネット販売が中心になった。
 今夜の渋谷はどうしたらいいのか、まだ決めていない。
 とりあえず、ランチタイムにいたします。