世界傑作文学100選

 ノルウェイブッククラブなる会社組織をご存知でしょうか。
 私は知識が無いのですが「世界傑作文学100」を発表していまして何が選ばれているのか調べてみた。 
 ランキングではなくて作者のアルファベット順に紹介されている。
 だいたい誰でも題名だけは知っているだろう作品のオンパレードなのですが、日本の作品が二つ選ばれている。
 それが「源氏物語」と川端康成の「山の音」なのだから衝撃を受けた。
 「源氏物語」はともかく、「山の音」については意外に感じる人もいるのではないだろうか。
 しかし、読まれた人なら誰もが納得するだろうと思うのですが、私は川端先生が好きで全集を所有し読んでいて、たぶん「山の音」が最高傑作だろうと感じるのです。
 思い返せば、最初は新潮の文庫で読み、とにかく全部が読みたくなり、仲が良くなった古本屋さんに頼んで古書市で全集が出たときに携帯に連絡を貰い、その度に金額交渉し一年半かけて傷みの少ない全38巻帯付きを6万円で購入した経緯がある。 
 文庫なら兎も角、全集があれば普通はそれでお仕舞いなのだろうが、「山の音」はどうしても初版本が欲しくなり神保町で探して後日8,000円で買った。
 それで買って良かったと感じたのは、不思議と本によって趣が異なって感じられたから。
 そして今、川端先生が同著を書かれたご自宅の近くに住んでいるのは、半分は偶然ですが全く影響が無かったわけではなく、頭のどこかで意識していたのは事実。
 一冊の本が人生を変えることは無いと思いますが、生活スタイルを変えるだけのインパクトが生じる事があるのだなと自ら認識したのです。
 何処から始まり何処で終わるのかわからないような独特の文体、恐ろしいほどの行間に驚き感心しながら、心から日本に生まれて良かったと思えた本との出会いだった。
 それで、この感じは日本固有のものかなと思っていたのに、どうしてノルウェイの団体がこの作品を選んだのか?実に興味深く感じたのです。
 「伊豆の踊り子」「雪国」「古都」「千羽鶴」では駄目だった理由があるのでしょうが、どんな基準があるのだろうか。
 因みにカミュは「異邦人」、カフカは「城」と「審判」、ドストエフスキーは「罪と罰」上下、「カラマーゾフの兄弟」上中下、「白痴」は何故か上巻だけ、面白い!
 そういえば、「源氏物語」は谷崎訳の初版本全巻買ったのですが、横浜の知識の無い本屋さんが「全部で1,000円でいいですから持っていってください。」
 あの時は冗談かと思った。