一つの出会い

 珈琲が無くなり、何時もの焙煎士にキューバシガー(高級そうに見える安いの)をお土産に会ってきました。
 前回のケニア豆が美味しかったのでとりあえず同じものを注文。
 そのケニア豆の飲み頃のを100gと昨日焙煎したばかりのを100g、それから違う世界の香りを求めてタンザニアピーベリーを200gと細かな注文に応じてくださった。
 店主に「苦いの好きですよね。」なんて言われながら雑談していたら常連さんらしき女性が店に入ってきて、直に私を見ながら
 「いつも弟がお世話になっています。」
 「えっ、姉弟なんですか?」
 「そう、父と母が違うけれどね。」
 「この店には変わったお客さんが多いと聞いています。」
 「私が一番ノーマルなの。あなたナレーターさんね。話は聞いているわ。」
 ・・・なんで解るんだ・・・
 抑揚の無いクールな話し方。
 不思議な空気。
 何をしている人なのかな?
 
 そういえば、縁は異なもの。
 幾つかの偶然が重なり、この店の常連だった漫画家さんの結婚披露宴の司会を秋にすることになった。
 ご家族だけの少人数の宴だそうで、果たして私が必要なのかどうか。
 「あそこで豆を買っているのですから、お願いします。」と初対面でいきなり頼まれた。
 その時も事前のアポとかは無くて本当に偶然式場のロビーで会った。
 しかも依頼された理由が珈琲豆なのですから奇妙な気分。
 2人は知り合って数日で結婚を決めたそうな。
 「この出会いは必然だったのだな」と納得してしまう自然な笑顔の2人。