「誰も寝てはならぬ」 常に本気のジャコミーニ
「テノール馬鹿」の第3弾 ジュゼッペ・ジャコミーニを無視する訳にもいくまい。
プッチーニ歌劇「トゥーランドット」から‘誰も寝てはならぬ‘ これは2008年と表示されているから最近の演奏会で、隠し撮りなのでしょうが、隠すというより堂々と撮影している感じでイタリーでは監視の目も緩いのかな?
サントリーホールであんなことしていたら確実にカメラを没収されるだろう。
記憶も曖昧ですが確かクピードか誰かの代役だった。
「別に聴かなくてもいいや」の私だったけれど、劇場に行った友人から深夜に電話があって
「だ、だ、代役がジャコミーニだったのだ!」と興奮していたことを憶えている。
ジャコミーニといえばメトの「運命の力」が有名で、あれはレオンタイン・プライスの引退公演で、当時やたら高額なレーザーディスクを購入したのだけれど、プライスは調子が悪いみたいで、それでも最後のアリアできちんと歌いニューヨーカーが大騒ぎ、如何にもアメリカンである。
「運命の力」を改めて鑑賞してみるとジャコミーニとヌッチの戦いが凄くて
「こいつら本気だ。」と驚かされる。
テノール馬鹿は「常に本気」でなければならないのです。
新国ではカニオの後に「蝶々婦人」ピンカートンも歌いに来てくれて、これは聴きに行った。
プロフィール写真ではお爺さんだけれど、ヘアメイクを施し登場したジャコミーには若きピンカートンそのもので、大きく響き渡るパンチのある声に圧倒された。
本当に素晴らしかった。
調べてみると1940年の生まれですから現在70代に突入したのだな。
歌える限り現役を貫き通してもらいたい。
年齢がなんのそのジャコミーニの歌唱はもの凄い。
心してお聴きください。