規格外シャンデリアが揺れる マリオ・デル・モナコ

 
 「テノール馬鹿」第5弾として、マリオ・デル・モナコの動画を紹介させていただきます。
 面白半分で書庫を設けたものの、テノール馬鹿の定義づけが極めて難しく、既に企画が終わりそうな気配を感じ、どうせならこの辺りでスーパーテノールを登場させれば少しだけ寿命が延びるような気がしたということ。
 馬鹿なんて冗談でも失礼に感じてしまう「歌の神様」である。
 しかし誰が言ったか‘黄金のトランペット‘とは実に的を得た表現。
 誰もが見たことがあるような動画ではつまらないし、適当に探していたらこれが出てきた。
 ヴェルディ歌劇「オテロ」第1幕凱旋の場で歌われる第一声「エソルターテ!」である。
 凄すぎる!目の前にいたら気絶してしまうかもしれない。
 以前知り合いの歌手から教えられた話で、その人の音大での友人が卒業後イタリーに留学し、晩年のデル・モナコからレッスンを受けたそうで、音楽室の外で自分の順番を待っていたら、時々歌うモナコの声が廊下の窓ガラスをビリビリ震わせていたという。
 俄かに信じがたく御伽話のように感じていたのですが、この動画を見るとシャンデリアがユラユラ動いているのですから、もしかしたら本当なのかもしれないと思ったのです。
 どこかで聞いたのか、なにかで読んだのか不確かですが、オペラ歌手が大きな声を出すとワイングラスが割れるというお話もあるけれど、そいつも真実なのかもしれない。
 どう考えてもグラスなんか簡単に割れそう。
 もし過去に戻れる機械なんかがあれば迷わずスイッチを押しスカラ座に直行したい。
 そこにはデル・モナコだけではない、テバルディやカラス、バスティアニーニだっているのですからファウストに魂を売ってでも音楽に溺れたいものである。
 前に「3大テノール」は企画の範疇に入らないと明言したしましたが、つまりどこか彼らは世渡りの上手な優等生に感じられて、デル・モナコは最初から規格外というか?普通の感覚がぶっ壊れているのです。
 記事にした1~4までの歌手が小さく感じられてしまった。