相京利枝さんのリサイタル 10月30日

 相京利枝さんのリサイタル聴いてきました。ピアノ伴奏清水良枝さん。
 10月30日19時~杉並公会堂小ホール。
 先だって10月18日書庫「音楽の話」で紹介させていただいた「慈炎華(ジ・エンカ)」 あの動画ではグリーグPF協奏曲がピアノ伴奏で、歌が都はるみさんの「北の宿から」になっているもの。
 時々舞台でご一緒させていただいてきたピアニストの清水さんが
 「聴きに来る?」「聴きたいです。」
 既に前回のブログで私は大きな間違いをしていて曖昧な表現で文章を訂正したのですが、相京さんは国立音大を卒業され現在は二期会会員、また日本演奏連盟会員のソプラノ歌手でした。
 動画を観ながらコブシの利かせかたから完全に演歌歌手だと私は思い込んでいて、コンサート終演後に清水さんと「クラシック知らない演歌の人って言ってたじゃない。」「だから国立出てるって言ったじゃん。」とか暫し言い合いになり、そこで相京さんが「そのお話されたのは、舞台の本番前だったのでしょう。」と優しく声をかけてくださり、「確かに本番前でした・・・」兎に角謝罪し文章訂正を約束した。
 考えてみたら動画でもパワフルな歌い方で「声楽家のようだな。」と感じていたのですが、そのまま声楽家だったということ。
 コンサートのプログラムです。
 第一部 『美しき日本をうたう・秋』
 「ピアニシモの秋」  作詞・山川啓介 作曲・中田喜直
 「秋風よ」  作詞・堀内幸枝 作曲・中田喜直
 「赤とんぼ」  作詞・三木露風 作曲・山田耕筰
 「紅殻とんぼ」  作詞・野口雨情 作曲・山田耕筰
 「宵待草」  作詞・竹久夢二 作曲・多 忠亮
 「荒城の月」  作詞・土井晩翠 作曲・滝廉太郎 編曲・山田耕筰
 「落葉松」  作詞・野上 彰 作曲・小林秀雄
 休憩時間20分
 第二部 『慈炎華』なんと16曲 編曲・関戸道也(このアレンジャー関戸さんは相京さんのご主人。ご挨拶させていただきましたが、笑顔が印象的な穏やかな人柄で、「慈炎華」のユニークな発想は関戸さんの提唱。)
 記憶の限り紹介いたしますが、なにせ初めて聴いたので、以下間違いだったらごめんなさい。
 ①「北の宿から」 これはグリーグの「ピアノ協奏曲」第1楽章でご主人が「グリーグに演歌を感じる。」そうです。
 ②「いっぽんどっこの唄」 これは水前寺清子さんのヒット曲らしい・・ビゼー歌劇「カルメン前奏曲
 ③「舟唄」 モーツァルト交響曲40番」第1楽章から始まり途中から歌詞でお伝えするなら「沖のカモメェ~」のところからベートーヴェン「月光」になり、40番がリフレインし終了する。このアレンジを聴いた八代亜紀さんが自分のより良いと思ったそうです。
 ④「天城越え」 ブラームスの「ハンガリー舞曲」5番
 ⑤「函館の女」 (女と書いてヒトと読むのか)モーツァルト歌劇「フィガロの結婚」序曲
 ⑥「アンコ椿は恋の花」 モーツァルト「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」の第1楽章
 ⑦「雨の慕情」 スメタナ「わが祖国」から「モルダウ
 ⑧「悲しき口笛」 メンデルスゾーンのバイオリン協奏曲から第1楽章
 ⑨「みだれ髪」 チャイコフスキー白鳥の湖」の有名な旋律 ⑧と⑨などは私の知らない曲なのでどうしてもメンデルスゾーンだけが聞こえてきてしまう。
 ⑩「北国の春」 ベートーヴェン交響曲第6番「田園」の第1楽章
 ⑪「柔」 ロッシーニ歌劇「ウイリアムテル」序曲なのですが、これは凄いと思った!youtubeで公開する次の曲はこれがいい、と勝手に思いました。
 ⑫「ああ上野駅」 ドヴォルザーク交響曲第9番「新世界から」第4楽章で始まり、途中の語りの部分が第2楽章で、また終楽章に戻って終わる。
 ⑬「高校3年生」 モーツァルトピアノソナタトルコ行進曲」の最後の楽章。
 ⑭「津軽海峡冬景色」 ベートーヴェン交響曲第5番「運命」第1楽章。
 ⑮「箱根八里の半次郎」 ベートーヴェン交響曲第9番から第4楽章歓喜の合唱あたり。
 ⑯「ここに幸あり」 メンデルスゾーン「夏の夜の夢」から結婚行進曲・・これ結婚披露宴の余興に最適だな。
 以上が後半のプログラムでした。
 たぶん曲の説明は間違いないと思う。
 しかし、書きながら自分でなにをしているのか意味が解らなくなってくる。
 相京さんは「慈炎華」の時だけマイクを使われていた。
 アンコールは普通の音楽でぐちゃぐちゃになった脳が元の状態にクールダウンしていくようで安心しました。   最後に「イルヴァーチェ声楽家でなければ絶対に歌えない難曲に大きな拍手!
 「悲しき口笛」や「みだれ髪」のように個人的に知らない場合、ピアノの音だけが聞こえてしまうのですが、周囲のお客さんの反応を見ていると年配の方々が楽しそうに舞台を見つめているから、美空ひばり世代の人達には懐かしく、もしかしたら伴奏があんまり耳に入ってこないのかもしれない。
 事実お客様は年配の人が多く、明らかに歌曲ではなく慈炎華で盛り上がった。
 相京さんは「北国の春」や「高校3年生」「津軽海峡冬景色」等よく混乱しないで歌えるなと驚いてしまった。少しでも音程が狂えば珈琲に間違えて塩を入れて飲んでいるような気分になるかもしれない。
 やっぱりベートーヴェンモーツァルトは他の作曲家より存在が強いみたいでシンプルな構成だからかな?私は聴いていて混乱した。
 「慈炎華」は音楽のカリカチュアで、本来は戯画と表現されて社会風刺等を目的にしていたのでしょうが、ここでは誰もが聞いたことがあるクラシックが自ら流行歌に歩み寄り、世間では格式があるように誤解されているクラシックだって流行歌と同じ音符の連なりにしかすぎないと気がつかせてくれる。
 またそれ以上に有名な旋律として世界に浸透し、現在まで残っているクラシックは随分と俗っぽい音楽なのかもしれないなと感じた。
 俗とは世間一般に行われている「ならわし」のようなものなのだろう。
 つまり流行歌とクラシックが普段着のまま互いに冗談を交わしながら握手した。
 高級なワインではなく、ホッピーで乾杯。
 魚はあぶったイカでいい。
 面白かったです。
 今回の売り上げの一部は被災地義捐金として寄付された。
 12月23日に幕張のホテル・ザ・マンハッタンで相京さんのクリスマスディナーショウ。
 19年続けてこのホテルでショウされているそうで継続は力なり。
 今回は伴奏者としてピアニスト清水さんも出演されるとのこと。
 慈炎華の新曲があるらしいです。
 
 お疲れ様でした!