カフェの記憶

 久しぶりに珈琲のお話。
 以前ブログに書きましたが、珈琲豆繋がりで知り合ったカップルの結婚披露宴があって、私は司会。
 個人の話題なのでなかみについて紹介するわけにもいかないけれど、とても優しい空気の流れる時間だったと感じ、こちらまで嬉しい気持ちになりました。
 お開き後「珈琲のお供に」とウィーン菓子を頂戴しまして、そうはいっても日本で作られ赤坂で手に入るらしいのですが、これが上品な味でどことなく懐かしい感じがする食感で、やっぱりウィーンに行った時を思い出す。
 最近珈琲は苦い味が中心でケニア等のアフリカ豆ばかり時間を掛けて味と香りを搾り取るように、やたら神経質に淹れているのですが、たぶんその相性が記憶を呼び覚ましたみたい。
 最初は23才の時だったかな、ウィーン旅行の目的はオペラだったのですが、昼間なにもやることがないから美術館に入るとあまりの素晴らしさに平気でルーベンスの前に1時間くらい座っていたり、もうオペラなんかどうでもいい気分になった。
 それでも幾つかオペラを観たけれど、今考えても美術館から受けたエネルギーは相当なものだったと思い出す。
 次はカフェで、つまりウィーンの記憶を整理すると、1位美術館・2位カフェ・3位楽友協会・4位オペラなのかもしれないな。
 時間があれば観光地に出掛ければいいのにカフェばかりで、いつもブラックで飲んでいた。
 それでも今私は現地でオペラが観たい欲求が生まれてきているから不思議なのですが、仮に行ったら同じような影響を受けて帰ってくるのかもしれない。
 日本でいい、ケーキが数種類あったとして「どれにしようかな?」と悩むとき、店員さんがイライラするくらい悩んでしまっても、最終的にはいつも焼菓子を注文してしまう。
 これは幼少時に初めて食べたチーズケーキの衝撃か、ウィーンでなんか食べた時の記憶なのか曖昧なのだけれど、「そうだ焼菓子が基本だ。」なんて思う。
 それだけで赤坂のお菓子は忘れがたい。
 何年か前に箱根宮ノ下の富士屋ホテルのラウンジでアップルパイを食べた時にも同じような気持ちになった。
 冷蔵庫の中に珈琲が2種類ありまして、いつものケニア豆と今回はジャバニカ豆。
 ジャバニカは簡単に説明するとエチオピア産を起源にニカラグアで栽培された珈琲。
 香りに特徴があって場合によっては苦手な人もいるのではないかと思うくらい刺激がある。
 淹れ方で味も随分変わるから面白い。
 しかしジャバニカの香りで、意識が国境を超えることはない。