ある日青空を眺めて ニコラ・マルティヌッチ
これこそ、本物の歌である。
ジョルダーノ歌劇「アンドレア・シェニエ」第1幕から‘ある日青空を眺めて‘歌手ニコラ・マルティヌッチ。
フランス革命の波に翻弄された詩人シェニエとコアニー家の令嬢マッダレーナの命を懸けた愛の物語。
アンドレア・シェニエは実在の詩人なのですが、美しきオペラのお話は後から作られたもの。
私は最近までこの2種類があればいいと思っていたのですが、このアリアを聴き本当に驚いてしまったし、今後マルティヌッチの音源を非正規盤でも何でもいいから揃えてみようと決断した。
これだけ歌えるテナーを私は他に知らない。
この曲に関してはデル・モナコ以上だと感じられる。
第一幕の後半、革命時代の只中に道楽に興じる貴族階級を批判し、「詩人の言葉をお聞きください・・優しい春の訪れ・・・私の前に美しい女性がいる・・」とか鳥肌が立つようなやらしい言葉羅列のアリアなのです。
youtubeで他の歌手と比較していただきたい。
きっとマルティヌッチの凄さがご理解いただけることでしょう。
人間て訓練すればこんなに歌えるのだな。
聴衆の馬鹿騒ぎに共感。
その場にいたら、誰よりも先に「ブラヴォー!!」と叫びたいし、逆に聴いているうちに涙が出て拍手もできないかもしれない。
もしかしたら、全てのオペラ歌手の中で№1じゃないかな。