1976年シェロー演出・・なんとルネ・コロの音源!びっくりです。

 
 1976年のバイロイト音楽祭といえば、ブーレーズがタクトを取り、まだ31歳だったパトリス・シェローが演出した「ニーベルングの指輪」であり、ワグナーの上演史上最も刺激に満ち、その後の演出家に大きな影響を齎した舞台。
 確かにあの時に歴史が動いたんだなと、数々の動画やCDを聴きながら「やっぱりバイロイトに行きたい・・タイムマシンがあれば1976年がいい・・」なんてワグネリアンは静かに思うのです。
 DVDは市販されていて、神話の世界なのにライン川にダムがあったり、ハーゲンがスーツを着ていたり、ジークフリートが労働者階級なのだなと、何度観てもいまだに一番面白い「リング」だと感じられる。
 模範的な解説をするなら、バーナード・ショウの「産業革命は人間を堕落させる」をシェローが具現化して、「リングは権力と悪と富への欲望である」と定義したということ。
 初演時の聴衆の反感は凄いもんでブーイングの嵐だったそうですが、年々社会がシェローを受け入れ1980年上演最後の時には85分間100回を超えるカーテンコールになった。
 ただDVDで鑑賞しながら、どうすることもできないストレスはジークフリート役がマンフレート・ユングだということで、どうしてAキャストだったはずのルネ・コロで収録しなかったのか理解ができないし、最終的にはコロはウォルフガング・ワグナー監督と喧嘩したから、最初からバイロイトは彼のことを嫌いだったから映像ではユングになったのかもしれない、なんて考えている。
 しか~し、youtubeって素晴らしい!
 とんでもない音源を見つけてしまいました。
 なんと1976年バイロイト音楽祭ジークフリート」第1幕の最後、ジークフリートが剣を鍛え上げミーメが悪事を夢見ながら大騒ぎしている暴力的な音楽。
 なんと歌っているのはルネ・コロである。(ちなみにミーメはDVDと同じツェドニック)
 逆算するとコロは当時39歳で、とにかく声が輝いている。
 他のシーンも探したのですが、コロはここだけみたいで、あとは「神々の黄昏」のシーンが3ヶ所ありました。
 「黄昏」でのジークフリート役はジェス・トーマスだった。
 これCDになっていないかな?どうにかして全部聴きたいです。
 客席からはもの凄いブーイングと口笛・・・感動!これがオペラです。
 素晴らしい!