文士3人の対談

 
 ノーベル賞の受賞が決まり、その翌日1968年10月18日に川端先生のご自宅で生放送として発信された番組の後半7分であるが、伊藤整さんが進行役を担当し、三島さんが先生を立てながら饒舌に語っている。
 記事で文学的な事を書くつもりはない。
 注目したのはカメラ越しに見えてくる、それぞれの性格だ。
 会話に間(マ)ができれば三島さんが空白を埋めるように語り始め、伊藤さんは他者の会話に気を使い遠慮されたり、しかし川端さんは平気というか最初から別の世界にいる。
 番組終了時間が近づけば、三島さんが横目でしきりに放送関係者を気にし、伊藤さんが言葉で対談を纏めようとしているのだが、やはり川端先生だけ世間と違う時間感覚なのか全く気にせずに話し続ける。
 遠くから江ノ電らしき音が聞こえてくる。
 三島さんがノーベル賞に近いと週刊誌などで取り上げられていたそうですが、あの人がどんなに頑張っても川端先生を超えることはできなかったのだと、多寡が数分の会話が証明していると私は感じる。
 川端的な人は他にそんなにいなくて、長嶋茂雄グレン・グールドくらいしか思い出せない。
 その後の割腹自殺やらガス自殺が有名ですが、一番早く亡くなったのは最も人格者に感じられる伊藤整さんである。