ロフォレーゼ再び、やはりテノール馬鹿だった。
先日参加したオフ会で、名ピアニスト/ラドゥ・ルプー「ブラームスの小品集」のCDを鍵盤録音収集家m先生から頂戴したと思い込んでいたら、間違いでhルコウさんでした。
オフ会自体が初めての経験で、私にとっては全員初対面の人たち。
やっぱりというか、ほぼ同年代クラシック音楽愛好家の男ばかりが計5人で、聴く分野が微妙に異なるのですが根底に流れている血は同じですから実に楽しい時間でした。
みんな良い人ばかりで変わり者で面白くて、自分だけが正常なんだと思った(笑)
思い返せば学生時代なんかクラスに自分しかクラシック好きがいなくて、思い出しついでに、高校時代だけは現代国語の先生が詳しくて職員室でお茶を飲みながら、「カラヤンの中継聴いたか?」とか「やっぱりブランデンブルクはコレギウム・アウレウムだよな。」なんて話したりして、あの先生どうしているかな?
当時私は卓球部で、ある日の部活の時間に先生が普段は卓球なんか見に来ないのにやってきて、
「あのさぁ、今まで生徒沢山いたけれど本当にクラシックが好きなのはお前だけだった。吹奏楽部は音楽の専門家だから別だけどな。レコードは大切にするんだぞ。」それで外見ながら「今日は涼しい風だな。」と言葉にされた。
私はなんだろう?と奇妙な気分だったが、先生はその日で学校を辞めたと翌日知った。
その理由は、担任していたクラスの生徒が窃盗だか恐喝をしていて、退学処分にならないように他の誰にも報告をしないで自分だけで動いていて、それが校長とかにばれてしまい生徒は退学、先生はクビになった。
授業中のやり取りを記憶している。
たしかこんな内容。
先生 「なぜクラシック音楽を聴く?」
私 「クラシックは美しいから。」
先生 「昔の音楽が美しいのは解った。じゃあなんで好きなのかだ。ザ・ベストテンより高尚だからか?」
私 「そんなことは思いません。意識が高揚し、もしかしたら気持ちが豊かになるからかもしれません。」
先生 「では、なぜ豊かに感じるのか?聴くことで何を変えたいのか?」
私 「変えるって?自分をですか、知識を積み重ねることですか?」
先生 「それも含まれるけれど、ちまちま考えないで社会的な大きさで考えてみろ。」
たぶん・・・3分くらいは考えた。その間先生は他の生徒に冗談言いながら「こいつはいいところまで解っているから、少し待とうな。」と時間をくれた。
私 「たぶん、文化。」
そしたらニヤリと笑い「それが島崎藤村だ。メモを取れ。」
以上が急に思い出した話。
「涼しい風。」は藤村の最後の言葉だと、後から知ったのだけれど、クビになったのに、なにかっこつけているんだか笑ってしまう。
それでこれからルプーモードに入りますが、その前に「ロフォレーゼ再び」
今朝アップした90歳のヴェルディを聴きなおしていて、どうしても全盛期の歌声が聴きたくなり動画を探してみたら、レオンカヴァルロ「道化師」の‘衣装をつけろ‘の古い録音を見つけた。
この曲はデル・モナコの代名詞のような曲。
しかしロフォレーゼも実に素晴らしい。
完全に本気モード、やはり尊敬すべきテノール馬鹿だった。