カールマン「甘く美しいご婦人方よ」 ルドルフ・ショック

 先日、同世代音楽愛好家による忘年会がございまして、神楽坂の高級老舗鰻屋で優雅なひと時を過ごすイメージ、ジェントルマンとしてキリンビールで乾杯だったけれど、現実にはプレゼント交換用に持ち寄ったCDを「僕これが欲しい。でもやっぱりこれがいい。」みたいな感じで、微妙に趣味の異なる中、ほぼ初対面と思えない積極的な行動と発言で結果としては楽しいオフ会となりました。
 徐々にお酒が身体に吸収されていくけれど、やたら鮮明な記憶としてハ○コウさんが水割りのつもりが芋焼酎芋焼酎で割って飲もうとしていたり、個人事業主の小生とn○m○先生は領収書をしっかりお店にお願いしたり、ぐら先輩は「家に帰ったらヒンデミットだ。」観察していると「先輩はいいお酒だな」と関心したり、そいえば私の隣席幹事だったっけLさん・・・いいかげん東京も寒いのですからコートお召になったほうが良いかと思います。
 私は全員が初対面だったのですが、なんとなく何処かで会っている気持ちなのは、絶対に会っていなくてはおかしいと感じるくらいに行動範囲に共通性を見出したから。
 「このCDはお茶の水ダンボール箱にあった。」とか知らない人には意味不明でしょうが、中古レコード屋の入口近くに置かれたダンボールは500円コーナーを意味し、みんなが知っているのですから同じ時間に3人くらいで同じ箱を漁っていた可能性があるということ。
 事前にアンケート調査がありまして、幾つかの質問が宿題になっていました。
 中で気になった一番の質問は、「最初に感動した音楽は?」というもので、私は昼間自室で暫し考えてしまったが、記憶を頼りにどうにかこれだと感じる曲を書いてみた。
 カールマンの「グラーフィン・マリッツァ」から「甘く美しいご婦人方よ」なのだが、ああ思い出せば中学生の頃だった、FMを聴いていたらオペラアリア特集で解説を渡邊学而先生が担当されていて、私はカセットテープにいい加減な録音の仕方で、つまり解説者の声まで録音していたから、「甘く 美しい ご婦人方よ・・テノール歌手ルネ・コロでした。」 つまり記憶は学而の声と一緒に脳に入り込んでしまった。
 思えば昨日命日だった山路芳久さんもメラニー・ホリデイとのジョイントコンサートで歌われていて、そのCDには「ウィーンによろしく」という邦題になっていたが、当時行ったこともない「ウィーンによろしく」と言われても消化不良で、私の中では何年経過しても「甘く美しいご婦人方よ」だったのです。
 もしかしたら世間では「ウィーンのご婦人方によろしく」が正しいのかもしれません。
 兎に角同席した音楽愛好家がこの曲を知っているのか知らないのかは考えずに発表したのです。
 たぶん知らない人のほうが多いと感じるので、それでもご理解いただきたく動画を探したのですがコロのが無くて、もう誰でもいいからアップさせようと調べてみたら、ドミンゴとかクンツや名も知らぬオペレッタ歌手だったりと、なんだかどれもイメージから遠い。
 そんななかルドルフ・ショックの映画のワンシーンを見つけ出し、これ素敵だなと思いました。
 コロのDVDや確かハイライト盤もあるはずですからお聴きいただけたら嬉しく思います。
 受験やら恋の悩みやら先々の不安の時代にラジオから鳴りだし、心の隙間に入り込んできた音楽なのです。