シュツットガルト歌劇場、ビエイト演出「パルジファル」

 
 これは凄いかもしれない。
 カリスト・ビエイトの演出で2年程前にプルミエだったワグナー「パルジファル」である。
 シュツットガルト州立歌劇場は刺激的な舞台を発信する印象があって以前から気になっているのですが、存在そのものがマイナーなのか、気軽にDVDは売られていないし、まして来日公演なんか絶対に無いと思う。 
 この動画は宣伝用みたいな構成だけれど、繰り返し観てしまった。
 僅か9分程度ですから感想を書くほど理解できていないけれど、それでも観れば誰でも解るのは、日本のオペラが如何に遅れているのかと気がつかされる点である。
 新国立劇場で上演されたオペラの全部を否定はしないけれど、この格差は恥ずかしいくらいの大問題かもしれません。でも新国だけではないのは、昨年のサイトウキネンでもそうだったと思い出す。
 みっともない・・現実の生活だけでも格差は息苦しいのに、芸術の世界でもそうなのだろうか。
 
 しかしビエイト演出の「パルジファル」でもテーマにしているのは格差社会みたいで、グラールの人々が使われなくなった高速道路の下みたいな場所でデモ行進している第1幕。
 火炎放射器を振り回す情景に驚愕!日本じゃやれないだろうな・・精神を病んだ女性の溜り場が花の乙女なのか?クリングゾルは聖なる剣でパルジファルに残酷なまでに殺害される第2幕。
 パルジファルはグルーネマンツの思いのままなのか?或いは彼は何か救いの手を差し伸べる事ができたのだろうか?クンドリーは妊婦だと最後に気がついたのだけれど、父親はパルジファルだったとしたらお腹の中にいるのはローエングリンかもしれないと想像した第3幕。
 歌手は誰だか知らないけれど、みんな上手い。
 全曲観たい。