レコード・5 アンナ・モッフォ アリア集

 
 
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 目覚めたら一面の銀世界、明日から3月なのにこの寒さ何時まで続くのやら。
 仕事も何も無くて良かった。勤め人の皆様お疲れ様です。
 新宿ディスクユニオンで数枚レコードを購入してきたばかりで、こういう日は鑑賞に適している。
 中古の600円以下コーナーは5枚以上購入すると1枚当たり300円で買えるシステムで、どうにか5枚にしようと一生懸命になるけれど、4枚までは簡単に見つかるものの最後の1枚がなかなか決められない。
 そんな中すんなり決定したのが「アンナ・モッフォ、オペラアリア集」(1974年RCAアメリカ盤)だった。
 まずジャケットの写真にインパクトがあって、今の時代にこんなヘアメイクの人をあんまり見ないし強烈なのだけれど、クレオパトラとかってこういう顔だったのではないかなと想像した。
 モッフォの録音は「トラヴィアータ」全曲盤を持っている。
 素晴らしいと思いつつあまり聴いてこなかったのは、カラス&スカラ座グルベローヴァ&フェニーチェの存在が大きすぎて、どうしても後回しになっていた。
 思えば数年前にモッフォ格安CDが数枚発売されて、その時にドイツ歌曲集を購入した。
 ジェラルド・ムーアの伴奏でどこかの古城で録音され独特の響きで素敵だが、いかにもオペラ的で、例えるならトスカが「万霊節」歌っている感じで困ってしまった。
 あとはコロと一緒に演じたオペレッタが印象的なのですが、あれは面白いけれど映画なので感覚的にどのような歌手なのかピンとこないでいた。
 でもこのレコードは実に素晴らしい。
 ようやく本当のモッフォが聴けた印象。
 ド二ゼッティ「シャモニーのリンダ」のアリア(邦題が解らなくてごめんなさい。)「 Ah,tardai troppo,O luce di quest anima・・」が凄いので吃驚した。
 響く声質で、しかも艶っぽく潤いのある大人の女性の表現。
 他にも「ルチア」「セミラーミデ」確かな技術がなければ歌えないものばかり。
 次はライヴ音源が聴きたいと新しい欲求が生まれてきた。
 モッフォに限ったことではないのですが、今回ならドイツ歌曲での物足りなさ程度のことから心をクローズしたままだったのなら、少しばかり勿体無い人生だったかもしれない。
 なんて表現したら大袈裟な例えかもしれないけれど、人の能力なんかその程度で、無駄な知識など無くても幸せを感じる事は沢山あると思う。
 それでも喜びを獲得できる要素はだいたい疑問符の少しばかり先に何時もあって、頁を捲らないがために気がつかないまま生きているということ。
 この感覚は時々やってくるのですが、その度に自分の無知さ加減が嫌になってしまう。
 足掻いたところでモッフォは昔の人、タイムマシーンでもなければ聴きに行くことはできないし、所詮これはレコードの音ですから実像の1パーセントも無いだろう。
 湘南も雪に包まれると町中が静か。 
 コロラトゥーラが身体に沁みてくる。