レスギンカ フェドセーエフ

 フェドセーエフの懐かしい映像を見つけた。
 この人の演奏会は何度か聴いていて、とても好きな指揮者である。
 いつだったかチャイコフスキーの5番を上野で聴いて、どうしたわけかロシア特有の熱気が感じられなくて拍子抜けした記憶があるのだけれど、アンコールが「レスギンカ」でこの動画と同じようにもの凄い演奏だった。
 神奈川県民ホールで「悲愴」を聴いたこともあって、その時も最初のうちは冷めた演奏だったから、ただ漠然とした気持ちでステージを眺めていたが、3楽章の途中から胸の高鳴りを感じ始め、気がついたら涙が出ていた。
 つまりフェドセーエフには当たり外れがあるのだけれど、経験上1回の演奏会の中で必ず素晴らしい時間が訪れるように感じている。
 スヴェトラーノフやロジェストヴェンスキーの時は最初からロシア重戦車のような破壊力があって、「もう馬鹿らしくてアメリカのオーケストラなんか聴けない。」気分になっていた。
 スヴェトラーノフ&ロシア国立でのスクリャービン「法悦の詩」と、ロジェストヴェンスキー&モスクワ・シンフォニック・カペレで聴いたショスタコーヴィッチ10番なんかとんでもない演奏で、暫く席から立てないくらいの衝撃を受けた。2回とも友人と一緒だったのですが、「さすがソビエトだな。血は交ざってはいけないのだ。」とか理解不能な発言を記憶している。
 フェドセーエフは上記の2人に比べると少しスマートな印象と申しますか、洗練された美学みたいなものを感じている。そんな美しい表現でも無いかもしれない。スヴェトラーノフなんかより野菜を多く食べていて若々しい感じといったらご理解いただけるだろうか。
 そのフェドセーエフがなんと今年80歳だそうで、もう一度聴きたいと考えていたら秋に来日するという。
 10月の半ばにサントリーで3公演あって、月曜日のメインが「悲愴」(この日はピアノの小山さんも出演)、火曜日が「シェヘラザード」、水曜日がショスタコーヴィッチ10番。
 それで水曜日のP席を先行予約で抑えました。「ああフェドセーエフショスタコーヴィッチが聴ける!」
 今回はもしかしたら最後のチャンスかもしれない。
 改めて動画を観て感じたのですが、「日本のオケもこのくらい気合を入れんかい!」と言いたい。
 しかし、ちょいとばかり気になるのは、その週金曜日の自分の仕事(舞台)を思い出したからなのですが、今考えても仕方がないし、きっとどうにかなるでしょう。