名盤!クリスティーネ・シェーファー「アリア集」

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 仕事帰りに横浜のタワーで発売されたばかりのクリスティーネ・シェーファー「オペラアリア集」を購入した。
 実は今夜、王子ホールでのリサイタルを聴きに行くのですが、全ての人生の喜びを2012年だけで結論付けなければいけないとしたら、「私のクリスティーネに会うために耐えてきた半年だった。」ということになる。
 今回はドイツリートを歌う。(特にベルクとシューベルトが楽しみ。)
 つまりアリア集は急いで買う必要もなかったのですが、どうしても欲しくなったのです。
 今買わずにいつ買う、私が買わずに誰が買うという心境。
 写真は説明書の中の一枚で、「クリスティーネが私を見ている。」ような気がする。
 CDは、Rシュトラウス ヘンデル ベルリー二 トマ ヴェルディ メシアン等、どう考えても繋がりの無さそうな人たちの比較的マイナーな曲ばかり。
 聴いてみて驚いたのは、欧州約200年の歴史的音楽が固い絆で結ばれていると感じさせてくれるところ。
 全く破綻が生じていない。
 例えば「オテッロ」<柳の歌~アヴェマリア>に続いてシェーンベルクメシアンアッシジの聖フランチェスコ」なんてこれまで誰も歌っていないでしょうし、仮に誰かいたとしても同じディスクで隣り合わせに録音する状況にはならないと思う。
 もしヴェルディのオペラ通がデズデモナだけ取り出して聴いたとしたら、ストーリーの前後関係やイタリア的なそれとは異なる歌唱に待ったをかける可能性はあるような気はする。
 殺意を抱いたオテッロが登場する気配が感じらずに祈りだけが時空を支配、いつしか雲間から青空が広がり始め小鳥の囀りのような優しきメシアンが祝福を与える。
 これがシェーファーの生き様?
 バッハのような信仰心?
 それとももっと個人的な出来事?
 申し分ない技術。
 アリアであるのにアリアに感じられない居心地の良さと美しき声。
 ただ最初から最後までシェーファーの世界。
 文章にする難しさ。
 僕にはとても表現しきれない。
 <怖いくらいに静謐な音楽を初めて聴いた。>それだけは解る。
 写真を改めて見ると、貴族のようであり娼婦のようでもあり、しかし誰よりも品格がある。
 この人、振り返らずに前だけを見て、しかも周りの人たちより少し早足みたいで、いったい何処まで行くのだろうと急に不安になった。
 どんなリサイタルになるのでしょうか。
 集中して聴いてまいります。