松本で購入したレコード 9・10・11・12

 今日は9月1日、関東大震災の日。
 何故か土曜日なのにオフであるが、その分明日がやたら忙しくなってしまい、朝から夜までスケジュールが埋まっているから有難い反面大丈夫かなと少し不安な気もする。
 感動のサイトウキネン「アルプス交響曲」以来、全く音楽鑑賞の気分になれないまま過しておりますが、ここ数日諸事情によりアレンスキーと三善晃ばかり聴いております。アレンスキーはLさんからプレゼントしていただいたCDである。不思議なもので繰り返し聴いているとだんだん好きになってくるから、「こりゃ名曲だ。」と感じてきた今日この頃。
 気分転換に松本で買ってきたレコードを聴いた。今回は全部で4枚購入したのですが、中古ばかりで2,000円でお釣りがきたのですから安いものである。
 「ショーソン交響曲アンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団。ルドンの絵画が美しいジャケット。ショーソンという人の音楽は最近聴き始めたようなもので、飲み会でHaさんから譲り受けた「コンセール」があまりに素晴らしいので驚いたが、それ以前は「詩曲」しか知らなかったから、当然のことながら交響曲は初体験である。
 アンセルメも知っているようで知らない人なのは、リアルタイムで聴いていないから僕にとっては最初から死者である。阿佐ヶ谷の名曲喫茶Ⅴ・・ロンに行った時にやたらアンセルメのレコードが多かったと記憶していて、なにかリクエストしたのですが曲も憶えていない。聴いているうちに僕以外お客がいなくなって、そしたら店主が「お客様はカラヤンお好きですか?」と意味深な言葉を投げかけてきた。こういうのは危険な質問で、答えたら最後、肯定されるか否定されるか2つの道しかない。躊躇して数秒黙ってしまったら、「ああよかった。私はカラヤンが嫌いでして・・・」と機関銃のように喋りだし、店主は人生の先輩だから聞き役に徹したら2杯目の珈琲をサービスしてくれた。「珈琲にブランデー入れますか?」それが阿佐ヶ谷スタイルだ。
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 とにかくショーソン交響曲のレコードを出した。最初が「君が代」に似ていると松本のGさんが教えてくれていたので、注意深く針を下ろすと、ほんの一瞬ですがなるほどそう聴こえなくもない。
 最後まできちんと聴いたのですが、どうこの音楽を文章にしたら良いのか非常に難しく、大変なので気が向いた時の課題にとっておくことにするが、いわゆるショーソンなのだ。ショーソンだから当り前だがショーソン的世界に誘われる。
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 同じお店(クレモナ)で購入したもう1枚。まだ聴いていませんが、「シューベルト歌曲集」クリスタ・ルードヴィッヒだから聴く前から良いレコードだと分かる。伴奏はアーウィン・ゲージで、写真がやたら若いから気がつかなかったくらい。ゲージはもうだいぶ前だけれど、エイズになってしまって心配していたのですが、今でも活動されているから医療も進化したのでしょう。伴奏のスペシャリストである。
 
 翌日別のお店で2枚。まずイ・ムジチ合奏団のヴィヴァルディのフルート協奏曲である。自分でも意外な感じがしたがイ・ムジチを初めて買った。その昔中学生位の頃(カセットテープだった時代)にFMで「ゴシキヒワ」なる名前のフルート協奏曲を録音した。自分でも馬鹿だと思うのですが、疑問を感じたらその場で調べればいいのに、ほったからし状態の言葉が当時は幾つかあって、人には聞けないその奇妙な響きと別に知らなくても生きていくことに困らないだろう語感の安全性が原因だと感じられる。唯一不安だったのは死ぬ瞬間で、薄れゆく記憶の中で「ゴシキヒワって何だっけ?」と思わなければいいだけの話で、ムソルグスキーの「カタコンブ」と共に10代の僕は「ゴシキヒワ」を封印したのでした。意味知らない人はご自身でお調べください。みんな悩んで大きくなるのだ。今回ついに「ゴシキヒワ」を入手した。525円だった。まだ聴いていない。
 
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 それからもう1枚。ラフマニノフ2番のピアノ協奏曲。リヒテルのピアノでザンテルリンクが指揮したレニングラードフィル。CDで持っていて長年愛聴しているですが、先日ル○○さんがこの録音の事をブログに書かれていて、単純な思考の小生はレコードで聴いてみたくなったのだ。インチが違う小さめのレコードでジャケットが破れていて店の外のケースに埃を被って置かれていた。こういうレコードを見つけるのは出会いみたいなもので、しかも210円だった。店主は「これは傷があるかもしれませんよ。」なんて言いながら中身を出してチェックを始めた。
 「気にしませんから、大丈夫です。」
 「昨日凄い演奏だったそうですね。<ハーディングは誰も出した事がない音を表現した>と、さっき某専門家が言っていました。」
 あのオヤジ、なんで僕がサイトウキネン聴きにきたと判ったのかな?
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 破けた部分は堂々とガムテープで補修。価値が下って大いにけっこう。
 レコードの音は一味違った。
 傷は無かった。
 しかし第2楽章の途中でB面に引っくり返さなければならないレコードって、気持ちが削がれた。