舞台神聖祭典劇パルジファルとは?ワーグナーとは?

 5日続けてバイロイト音楽祭のライヴ録音を聴きました。
 今年はリングが上演されない年だったからか全体的に地味な印象でしたが、理想的な演奏が立て続けに行われたから聴覚的には満足した。最後はやはり「パルジファル」が相応しい。
 NHKのBSで既に放送されているけれど、可能な限り公共放送にお金を落としたくない考えがあって加入していないから見ていない。(動画サイトに関しては後日鑑賞してみる予定。)適当に画像を載せてみましたが劇の流れと同じ順番なのか不明だけれど、写真を見る限りにおいて非常に面白そうだと感じている。演出はステファン・ヘルハイム。読みかえの危険な演出でもなんでもいい、僕は刺激が欲しい。
 
 指揮は昨年のガッティからフィリップ・ジョルダンに変更になったそうですが、個人的にジョルダンの演奏を僕は高く評価したいと思っている。歌手に関してはどの役も素晴らしいと感じたけれど、特にグルネマンツを歌ったクワンチュル・ユンと表題役のブルクハルト・フリッツが魅力的で満足した。
 それで、幾つかの他人の書き込みを読んでみれば、指揮者に対して音の厚みが弱いとか、フリッツがビジュアル的に太っているとか・・・ネガティヴな発言するだけで満足しているであろう匿名の人々がチラホラいて、僕は「愚か者よ、自分で歌ってみろ!」と聖なる愚か者を擁護したい気持ちになるのです。
 第3幕なんかクラクラするくらい見事なワーグナーで、俺の求める世界だ!と「聖金曜日の音楽」辺りから正座しながら鑑賞した。涙が出ちゃう。本当に素晴らしい。
 
 実はバイロイト放送5日目にして「パルジファル」だけ録音した。最早完全なる死語であるが「エアチェック」である。何故ならば、時代遅れと思われてしまうけれど、我家にはハードの故障以来聴かれなくなってしまったMDのソフトが沢山ありまして、大半が仕事で使用してきたものなのだけれど、時々本来はやってはいけない貴重な盗み録りのようなものもあったりする。つい最近までソフトは墓場に持っていこうと考えていたが、パルジファルがアンフォルタスを救罪したように彼らを蘇生させることを模索。ネットオークションでサンスイのMDプレイヤーをたったの1,400円で落札した。ちゃんと動く。
 クンドリーのスーザン・マクリーンは「ローエングリン」でオルトルートも歌ったのだから大変だったろうな。
 
 それで昨日考えていた感動に直結しないようなモヤモヤした気分なのですが、気のせいかもしれないけれど、聖地に集った客層と関係があるのかもしれないと感じたのは、第1幕が終わったところでN響定期演奏会に似た拍手が起こったから。たぶん舞台神聖祭典劇の意味を知らない人が多いだけだと思いますが、そいつは義務という社会的な常識に比例して世の中で時々やってくる。悲しいことです。
 
 僕はさっきまで知らなかったのですが、調べてみたら今年からチケット販売の仕組みが変更になっていて、簡単に説明するなら特別販売ルートが廃止され、一般販売の割り当てが増加したということ。つまり去年まで日本ワーグナー協会が確保して古い協会員に販売していたルールが無くなったらしい。だいたいワーグナー協会に入って10年程度でチケットは入手できると話には聞いていましたが、たぶんその方法では駄目になったと思う。
 新国にワーグナー聴きに行くと協会のデスクがあって、担当者が知り合いなので「入会してよ~」と言われてきたのだけれど入らなくて正解だったかもしれないと思った。つまり本気でバイロイト詣したいのなら自分でアクセスすればいいのである。それが本当のワグネリアンだと思うのです。簡単にチケットは取れないかもしれないけれど、諦めないで続けていればいつか成功する。その時に仕事がとかお金とか色んな問題が発生するかもしれないけれど、仕事なんか辞めればいいし、お金が無いなら借金すればいい。諸問題をクリアーした先に祝祭への道は拓かれるのではないだろうか。
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 このままで本当に行けるのか自信が無くなってきましたが、上記の問題はカタリーナ・ワーグナーの功績だと考えたいのです。祝ワーグナー生誕200年。
 しかし、その責任とは思いたくないけれど、今年のお客にはパッションが欠落していたように感じる。
 「さまよえるオランダ人」の奇抜な演出が初演だったにもかかわらずブーイングが少なかったし、去年の「タンホイザー」の大騒ぎを思うと熱いものが無かった。でも何事も最初は仕方がないのかもしれませんが、スマホで撮影の観光客ばかりだったら最悪。「バイロイト・ナウ」とかツイートしたりして。
 
 そういえば明日は宝くじの当選発表だな・・もし「億」当たったら書いている内容と逆さまだけれど、ブラックマーケットがなんのその、ミュンヘンの音楽祭~バイロイト音楽祭ザルツブルク音楽祭・・そしてライン川に船を浮かべてティーを飲んでやる。