大晦日から元旦

 明けましておめでとうございます。
 大晦日、深夜になれば鶴岡八幡宮に向かう群集でまっすぐ歩けなくなってしまう若宮大路を散歩し、少しだけお正月用の食材を買物した。
 何処のお店も新年ならではの工夫をしていて集客の準備。とある食堂では「おみくじで大凶の人は御汁粉サービスいたします。」なんて書かれていて、普通初詣のおみくじでそんなの出てこないと思われるだろうが八幡様には高い確率で混ざっていて、家人はかつて凶で翌年にいたっては大凶だった。そのてのおみくじを初めて僕は見たのだけれど内容に関しては良いことばかり書かれていると知った。
 お酒はそんなに飲まないけれど気分的に美味しいものを頂きたいものでちょいとしたこだわり。
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 湘南の地酒「天青」(一番お安いの)さっぱりした味でこの辺で獲れる蛸やシラスと相性がいい。これは扱っているお店が少なくて八幡様を正面に右、鎌倉宮方面に歩いていくと、岐れ道(ワカレミチ)という不吉な名前の交差点の手前に温度管理のしっかりした鎌倉では名の知れた酒屋さんがありまして、そこで購入することができる。
 「鎌倉酒の会」に所属しているクラシック音楽が好きな友人から教えていただいたお店で、最初行ったときは知識が無いものだからあれこれ質問したら、店主がもの凄いお話好きで一本の日本酒を入手するまでに15分間機関銃みたいに酒の話が続き非常に草臥れた記憶があるもんだから、今回は無言でサッとレジに持っていった。瀬戸内海の新海苔があったので一緒に購入。
 駅方面に戻る途中、以前ベートーヴェンの胸像を買った骨董屋を覘いたら狭い入口に無造作に大きなリュックサックが2つ置かれていてかなりの歩幅で跨がなければ店に入れない状況。もし自分の責任なら次の人に「ごめんなさい」と移動させるだろうが、無頓着なのは中国人観光客で女性店主と値段交渉に夢中になっていて僕に気がついているのに完全無視だから、配慮というか何も気にしない人たちなのだな。仕方がないのでリュックを思い切り踏んづけて店を出た。
 吉田秀和先生のご自宅の前で立ち止まり門の前から玄関方面を見れば人の気配、お嬢様か誰かいらっしゃるのかと思った。
 その後、鳩サブレー屋の近くのワインショップでデザートワイン(一番安いの)「これくださいな。」外は暗くなり始めていて段葛の提灯に灯が点る。
 スーパーの「全部半額!」の声に釣られて魚売り場を見に行ったら、確かに半額だけれど3,000円のマグロが半額と言われても、酒より高いじゃねえか。じっくり品定めして鰤の刺身と天然真鯛のアラと泥の付いた牛蒡を買った。鯛の煮物に牛蒡は必需品、山椒は確か家にあったな。
 そういえば最近古い魚屋が無くなってしまい驚いた。子供の頃からあった魚屋で高いから買ったことはないけれど、川端康成の「山の音」で主人公が仕事帰りにサザエを買っていた店だと勝手に想像していたから何となくショックだった。吉田先生の文章だったか「鎌倉から豆腐屋が消えた・・」違う人の文章だっけ?を思い出した。
 
 数時間後随分お酒を飲んだからクラクラしながら、秋にパ○ピエさんから頂戴したベームが指揮している「ナクソス島のアリアドネ」のDVDを鑑賞。前日までワーグナーばかりだったからR・シュトラウスの音楽とホフマンスタールの台本がやたらお洒落に感じられ、この人はワーグナーが出来なかったその先の音楽を表現したのだなと美しき世界に納得。
 鑑賞後、その日初めてテレビ見たらNHKのカメラが八幡様を映しだしていた。人だらけ・・お正月だけで250万人来るとか。数日あすこには行かないほうがいい。
 
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 酔いが醒めた深夜2時半くらいに自転車で初詣は長谷観音。大晦日~元旦は拝観料無しで空いているから。
 
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 万灯祈願、これ紙コップに蝋燭。見事なもの。