原因不明の病と吐血。そしてエイの肝。

 フィルハーモニア管弦楽団の演奏会から一週間。受けた力が大きすぎて、音楽も読書もなにもない虚無な時間だけが過ぎていった。一部の人には伝えましたが、「巨人」を聴いた日、帰宅してからオレンジジュース片手にスパゲッティのナポリタンを食べ、最後にコーヒーを飲んで・・・そしたら暫くしてから身体が火照ってきて気分が悪くなり、「これは大変、インフルエンザかもしれない。」ってんで、慌てて薬を探したけれど気が利いたものがなくて、何となくパニック障害前兆発作のような空気を感じとり最悪のパターン。僕が鎌倉での生活を選んだことはコンディションとも関係している。以前は横浜の国道沿いに住んでいて、体温が39℃を超え時計の針や心臓の音がやけに大きく聞こえてくる夜、自宅前に暴走族がやってきたのだった。あの時は死ぬかと思った。記憶は定かではないが、朝起きたら時計がバラバラになっていたから自分で壊したんだと思われる。つまり今回、あのときの感覚が蘇ってきた。せっかく静かな生活を獲得しているのに悪夢の再現である。無防備なのは深夜寒い裏庭にフラフラ出て「もっと空気を!」とニーチェみたいな言葉を叫んでいた。その数分後、トイレで吐血した。あとから思えばケチャップなのですが、それでいて先日みたいな雪だったら「白に赤」とか馬鹿に冷静。吐きながら頭の中ではマーラーの第3楽章コントラバスの音が繰り返し鳴っていた。あの旋律は何度聴いても「黄金虫は金持ちだ♪」を想いだす。
 高熱は出なかったから流行の病ではなかったみたいだけれど原因不明。
 だから音楽愛好家として上記のような症状は「幻想交響曲」の場合だけだと感じてきたのですが、今なら解るのはベートーヴェン30%、ルトスワフスキ50%、マーラーなんか90%以上はあるように思う。これで土日もチケット買っていてサロネンの「ヴァイオリン協奏曲」やカンディンスキーの絵画みたいな「春の祭典」を聴かなくてはならない状況だったら救急車に担ぎ込まれ入院していたのではないかしらん。全ては音楽の所為。
 月曜日の夜は取引先ホテルで食事会の予定だったけれど体調が戻らずキャンセルした。「大丈夫ですか?」とメールを頂戴した。「インフルエンザではないようですから安心してください。」のような返信をした。取引先に対し「駄目です。」とは言えない。
 実はこの一週間、一日一食しか食べられない。それは決まって夜。しかし何故か味に敏感。
 
 
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 一昨日の夕食は駅の近くにあるビストロに行った。最近オープンしたみたいでホームから見えるから気になっていた。陰気な写真は店の前から駅を撮影したもの。誰もいないホーム。武家の都は死者の国。右が逗子で左が北鎌倉。夜はクールだ、素晴らしい。
 その日の最初の食事は、チリの白ワインを飲みながらパテ・ド・カンパーニュ、地鶏と鎌倉野菜、ヒヨコマメの煮込み、鯖とジャガイモの料理、エイの肝をケッパーとアンチョビで味付けしてあって白菜と合わせたもの。デザートとコーヒー。もっとかっこいいネーミングしてあったのだけれど忘れた。メインとして肉も食べるつもりでいたのだけれど、お腹がいっぱいで入らなくなった。
 全部美味しかったけれど、特にエイの肝が印象的。アンキモやフォアグラ以上に濃厚でアンチョビの塩分の先から臭いがしてくる。エイや鮫は消化器系統が発達していないからアンモニア臭がする。それがいい。
 テレビで鹿が増えているが猟師が足りないとやっていた。山形でマタギになった28歳の女性も紹介されていた。美大を卒業したらしいが何故かマタギになった。彼女は兎を狙っていた。
 今の季節はジビエ。「次は鹿か兎にしよう。」と思った。