グールドのベートーヴェン・ソナタ集

 タワー新宿店で、グールドのベートーヴェンソナタ集(ソニークラシカル)を購入しました。
 ネットの方が少しだけ安かったけれど、店舗で実物見れば「よし買おう!」という気分になるものです。
 モーツァルト集の時と同様に、注意しなければ簡単に壊れてしまいそうなケースに6枚のCDが収められている。(時間的にゆとりがないからまだ聴いていない。)
 個人的にソニーの名前が付いている商品は直ぐに壊れるような気がしていて、最近CDレコーダーで録音することがマイブームなのですが、ソニーの音楽用CDR20枚セットを買ってきて使おうとしたら、半分位エラーの文字が出てきてしまい役に立たない。(パソコンなら使えそうです。)ハードに問題があるのかもしれないけれど、TDKだと全てが機能するのは何故なのか?そういえば、カセットテープでFMを録音していた懐かしき時代もTDKというブランドは優秀だったと思い出した。あの時代はTDK-Aというテープが安価だったから僕にとっては使用頻度が高く、グレード上がるとADというタイプで(今でも音の違いが判らない。)同級生の大半はADだったように記憶していて、クラスの女子にせがまれて、翌日得意げにADに録音してきた「サマー・ヴァケーション」を手渡している姿を見てしまい、殴ってやろうかと思った。関係ない話だが、ある日そいつは鞄の中から「ハートカクテル」を出し読み始めた。あの時は「忍耐にも限度がある!」と思い切り後頭部をひっ叩いてやった。
 音楽愛好家で文学少年だった小生は傷つきやすい性格なのだ。
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 これがCDの写真。カナダだと思われるが、雪原の大地に立てるグールドの姿が写されている。こういう企画ものが販売される度に、ピアニストはまだ生きているような気がしてならない。以前にも似たような事を書いたのですが、観客を前に演奏しないピアニストを我々は最初から彼を見ていないのだから、死んだと言われても困ってしまうのです。間逆の考えですが、三島由紀夫の「天人五衰」の最後に、本多が聡子を訪ね松枝の話を切り出すと「そのような人は、存じ上げません・・」 つまり最初からグールドはいなかったと思ってもいいのではないでしょうか。
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 ネットで「グールドは生きている。」と噂を流し始めたら、そのうちテレビで取り上げられるかもしれない。
 例えばカナダのローカル放送とかがいい。
 タイトルは「証言、私はグールドを見た。そして聴いた。」
 アナウンサーの言葉は勿論英語。
 「アメリカとカナダの国境の小さな町で飲食店を経営しているジョン・スミスさんに当時の様子を語っていただきました。」
 VTRに切り替わる、レポーターがマイクを向けた先には、前歯の抜けたアル中のような痩せたオヤジがいて、ミシガン訛りの英語で彼流の言葉が始まる。
 以下日本語による吹き替え。
 「あの爺さんがピアノを弾き始めたときは、ぶったまげたぜ!御天とさんが暑くって誰だって湖に飛び込みてえ気分なのによ、奴さん冬用の分厚いコート着てよ、しかも歌いながら演奏しなすった・・」 
 
 CDには何故か24番とハンマークラビーアが収録されていない。
 CBSのシリーズは別にして、偶然にもソニークラシカル企画のこの2曲カップリングのCDだけ独立して以前から所有していたから、パズルの穴が埋まった奇妙な感覚。
 明日仕事から帰ってきたら聴いてみます。