気分はハイC
今年のNHK音楽祭は「輝くオペラの巨星たち」というタイトル。
それで、スカラ座「ヴェルディ・ガラ」って何を演奏するのだろう?と期待しながら確認すると、どうやらテノールのスチュアート・ニールが「清きアイーダ」と「見よ恐ろしい火を」を歌うみたい。この人は前回のスカラ座日本公演「ドン・カルロ」でヴァルカスとダブルキャストになっていた人だと憶えているけれど、僕はあの時「アイーダ」と「レクイエム」を選んだので、Sニールを知らないままでいた。ただミラノでの初日にフィリアノーティの代役で(あれは最初はアルバレスだったような曖昧な記憶があるから、もしかしたら代役の代役かもしれない。)主役を務め、それをNBSがやたら褒めているコピーを読んだから「新しい時代の優秀なテナー登場なのかな。」と想像して、失礼な話ですがそのまま忘れていた。写真を見ると、この男そうとうにデカイ!ヨハン・ボータよりもパヴァロッティよりも或いは曙よりもデカイかもしれない。
「清きアイーダ」と「見よ恐ろしい火を」は当ブログの書庫「テノール馬鹿」で幾つか紹介させていただいたように、真のテノール馬鹿にしか歌うことの許されない決定的なアリアだと勝手に考えているので、オペラ愛好家としてはプログラミングされているだけで注目しないではいられない。
それで動画サイトでSニールの「見よ恐ろしい火を」探し出し聴いてみた。ある意味衝撃的なDi quella pira♪ですから、興味のある人は一番↑クリックして聴いてみてください。音源は恐らくオペラ全曲の一部だと思う。
秋の演奏会では2曲歌うだけですから、たぶん成功すると思いますが、マンリーコのアリアって名曲なのかなんだか判らないのにハイCの影響力が強すぎて、しかもヴェルディ先生の思いは無視され高音だけが独り歩き。でもそれ以前に「トロヴァトーレ」って人気ある作品だけれど実に変な話で、音楽作品としても如何なものか、僕にはとても名作だとは思えない。つまり、極端な話アリアのハイCだけに価値を求めたくなる気もするし、あの箇所を期待しながら聴いてしまうのも事実なのです。だって原曲に忠実なムーティ盤のつまらないことが全てを証明していると思うのです。
カラヤンの「そこはそんなに伸ばして歌わなくっていいよ。」発言で、ボニゾッルリが怒り爆発。帝王に向けて小道具の短刀を投げつけた事件にしても、もしかしたら正しい判断はボニゾッルリなのかもしれない。普通に考えれば暴力的行為をしたテノール馬鹿の責任だけれど、カラヤンも大人気ないというか、相手は馬鹿なのだから好きなようにやらせてあげれば良かったのに。翌日代役がやってきて、どんなに優等生が頑張って歌ったとしても元バリトンのドミンゴにはハイCが出せないのだから聴衆が気の毒に感じてしまう。(そのドミンゴもいつのまにかバリトン歌手に戻った。)逆かな?どうせ高額なチケット代金なら馬鹿より優等生に世間は満足するのかしらん。
話がおかしな方向に行きそうなので纏めます。
考えようによってはチケット購入って賭けみたいなもの。
Sニールの成功確立は、たぶんWBC台湾戦9回2アウトで盗塁した鳥谷みたいな可能性だと思うのです。
でも秋のホールは乾燥しているから、準決勝での内川状態になることも想定しなければならない。
結論「だからオペラは面白い。」