最近購入したCD
① フランコ・ボニゾルリの4枚組み<membran>というレーベル。タイトルが「Nessun Dorma」なのだけれど、実情としては様々なオペラアリアや「リゴレット」「オテッロ」「トロヴァトーレ」「トラヴィアータ」の抜粋が収録されている。全て70年代の録音。(新宿のタワーレコードで購入。)
<membran>という聞いたことがあるような?ないような?ブランドで、高名な指揮者のシリーズも売られていて、例えばクレンペラー10枚組が1,000円弱なのですから入手された人もいるかもしれない。検索してみるときちんとしたHPもとりあえず存在している。
ただこのCDの梱包は外箱を見ただけでは何が収録されているのか分からない状態で、中のカバーもちゃちなボール紙ケースにCDが直接入っていただけですから、どう考えても非正規盤臭が漂っている。(僕の勝手な思い込みだから不確かです。)つまり正規録音の幾つかを非正規に纏め上げ、さも正規であるように非正規に販売されているように感じられる。
それで、正規な雰囲気のボニゾルリの歌唱は見事なのですが、残念ながらあんまり面白くないのは、この人はやっぱり現場が相応しく、そこでは楽譜に無いような高音を伸ばしまくりお客が狂喜乱舞するオペラハウス的馬鹿な常識でのみ生きていられたと感じるからなのです。ただスタジオ録音でも息の続く限り高音を伸ばして歌うから、綺麗な録音のメリットとして「このようにして歌っていたのか」と良く解るが、デメリットとしてはカラフもアルフレードもマンリーコもロドルフォも全部同じような歌い方だから、役柄がなんのそのボニゾルリの顔しか思い浮かばない。
この人の録音を聴こうとするとき、非正規ライヴ盤をお探しすることをお勧めいたします。
これは約10年間探し求めていた録音で、安さ(900円台)と発見の嬉しさのあまり速攻買いしてしまった。(新宿のタワーレコードにて)
同じ録音で非正規ばかり売っているが信頼できる老舗レコード屋「ボンジョバンニ盤」もあったのですが、3,500円だったから迷わずに安い<Lyrica>をチョイスした。
確かにかっこいい2人ですからヴィスコンティのそれみたいだったのかなと想像していた。
それでこの夢の「カルメン」で驚いたのは音質の悪さ!
ここでいう音質とは、オーディオマニアが拘るような細々した世界ではなく、誰が聴いてもほぼ雑音としか感じられない凄すぎる録音状態を指し、例えば序曲ではシンバルばかりが鳴り響き、2幕の頭ではフラメンコの足音が大きすぎてオーケストラが聴こえてこないのだから、どこにマイクが置いてあったのやら、もう笑うしかない。
しかしながら面白いのは、人間の耳は時間の経過と共に慣れてくるもんで、シミオナート演じるカルメンが殺されるシーンまで夢中になって聴き入ってしまった。歌手は皆絶好調。
<Lyrica>のジャケットを開いてみると、悲しいデザイン「なんだこれは!・・・牛」
しかし、デザインや録音状態がなんのその、歌好きなら入手すべきCDである。
録音状態は①と②の中間位の質でしょうか。その源は明らかに客席で誰かがテープレコーダーで収録した音で、オーケストラボックスに近い平土間の響きか。グルベローヴァの超絶技巧にお客のざわつきは生々しく劇場にいるみたいに感じられ好ましい。
当時山路さんが同作品ガストン役で歌われることが数回あったので、もしかしたらと期待をしていたのですが、どうやら違う人の声に聴こえる。もしかしたら、というのは非正規盤たる所以なのですが、ケース内の説明書に何も書かれていないから主役の大物3人以外誰が出演しているのやら。
全盛期のカレーラスが素晴らしく、全体的にも感動的な演奏。
☆非正規盤を推奨しているのではありませんが、編集しないそのまんまのありがたさを感じました。