色彩感覚とカメムシとエロティックなやりとり
夕方珈琲豆を買いに藤沢のいつものお店に向かった。
時々こういう子供たちの作品をどこかで見かける。その度に感心するのは色彩感覚の豊かさである。
僕は人と喋らないで解決する美術(図画工作)の時間が好きだった。絵画や塑像に関しては褒められることが多く、文化祭とかに嫌々出品させられていた。
地下道の絵画を見ながら考えたのは、小学生だった自分が描いたものが、その昔似たような境遇になっていたのだろうけれど、思い出すだけで最悪なのは随分と俗っぽい絵だったということ。当時の大人がどのような基準でチョイスしたのか想像できるのは、全ての良し悪しをデッサン力だけで判断していたことで、そんなもん本来子供に必要なイマジネーションとは何ら関係ない馬鹿な聖職者の姑息な考えに由来する。
そんな中でも信頼できる恩師は2人いた。20年近く学んできて少ない数。だろうか。先生同士は互いに連絡の無いそれだけれど、共通項として書道を極めた人で、何の因果か2人とも山形大学が母校であり、読書好きになるように背中を押してくれた。それ以外はあまりに酷い先生ばかりで、気が遠くなるほどの絶望の日々だった。
写真には無いけれどウインドウを右端に進むと中学生のコーナーがあって、全体的に落ち着いた色彩でタッチが上手になっている。つまり見られることを意識した上手い絵に変化していくのです。別の言い方をするなら面白みに欠ける。太い木、向日葵の一本道、虹の架け橋。小学生の素晴らしさよ。
以上が今日の収穫。
そのあと遥か雲海に沈み行く夕日を眺めながら豆屋に到着。2時間位焙煎さんと雑談して、ブラジル山口農園ブルボンとコロンビアのファルコンを購入。相変わらず細かいハンドピックと煎り加減は職人のお仕事。大人の色。
そういえば他にも印象に残る出来事があった。
3日前から部屋の中に何処から進入したのかカメムシが一匹徘徊していて、黒褐色に近い緑色に輝く羽はまるで翡翠のように美しいと思っていた。時々電球に向かって飛んで、音に気がついたチビがピョンピョンとジャンプするから「チビのお友達にしよう。名前はカメ子さん。」
ところが虫が大嫌いな家人が「急いでヘコキ虫を退治して!」とうるさい。
だいたいカメムシをヘコキ虫と言う品格の無さに幻滅なのだけれど、小生が寛ぎながら「みやねや」で猪瀬都知事と徳洲会について研究していたら、「ヘコキムシの臭いがする!どうにかして!」と騒ぎ出し、腹立たしさとストレスから喧嘩になる直前だった。
しかしあまりに煩いから「この生活も終わりかな」とか考えながらカメ子さんを探したのだけれど、どこにもいない。「おかしいな?」そのとき、黒猫の一匹アンバーちゃんが急に咳き込み始めた。
「もしかして・・」とアンバーの口に鼻を近づけたら、そこはかとなくカメムシ臭「おまえ食べちゃったの?」
写真はカメムシを食べたと思われるアンバーちゃん。僕には馴れていないが時々甘えた表情を見せる。
それで思いだした全然関係ない話。
先日健康診断があって、なにかの手違いだかで検便キットが送られてこなくて、行けばどうにかなるかなってんで比較的近くの湘南○沢病院に出かけていった。(当初は最先端技術を誇る徳洲会の湘南鎌倉病院にする予定だったが、みやねや曰く最上階に虎雄がいるらしいので気分的に他にして良かったような気がしている。)
そこで、流れ作業のようにレントゲンや検査をしたのだけれど、血液を採取する看護師さん?が好みのタイプの女性で、僕の手を見ながら「右手と左手、どっちがいいかな?」と悩んでいる。というのも、僕は血管があまり表に出ていないらしく針を刺すのが難しいらしい。
「失敗しても構いません。」
「じゃあ、右手でいい?」
「可能なら両方刺してください。」
そしたら、「ふふ」と笑顔になって、僕の耳元でカメムシの羽音のような囁く声で
「いっぱい抜いてやる。」
これは間違いなく平成25年に入ってから最もエロティックな出来事であったと思う。
血液は黒みがかった赤だった。
帰りがけに検便キットをもらい、係りの男性が「27日までにお願いします。4日間内で2日に分けて・・」と細かい。でも、まだ何日もあるから暫くしてから提出すればいい程度に考えていたのだけれど、そのまんま忘れていて、思い出したのは昨日だったから、あら大変。
結果として珈琲を買いに行く前に提出してきましたが、期限が迫った状況での検便は至難の業だった。