ランチはお寿司屋。

 友人が遠方から遊びに来てくださった。
 市内のまず観光客がいない特殊な場所を散策しながら音楽と文学と歴史談義で、なんとなく話の流れからランチは近所のお寿司屋さん。文学に縁のあるお店。扉を開けたらカウンターは埋まっていた。
 「おじゃまいたします。二人大丈夫でしょうか?」
 「お座敷にどうぞ。」と笑顔のおかみさん。
 久しぶりの友人と一緒なのだから対面式の畳が居心地良かった。
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 かつてこのお店で不思議な体験をしている。
 あの時はカウンター、隣の席に紳士が独りいいお酒で、そのまま話し相手になった。暫くしてその人は先に帰ったのだけれど、自分の会計をお願いしようとしたら「先ほどのお客様から全部いただいています。」って本当に吃驚した。動揺しながら「どうしたらいいのでしょうか。」と親方の顔を見たら「いいんです。これが寿司屋です。」
 実に日本的な粋を感じさせられ、まだまだ大人になりきっていない己を恥じ、普段から大胆な発言ばかりしているくせに可笑しな部分で小心者なのは、以来暖簾をくぐり難くなってしまったこと。でも今回気がついたのは、どうやら親方ご夫妻は忘れているみたいだったから、つまり安心して美味しいお寿司が食べられた。
 
 
 その後、久しぶりの鎌倉文学館では「小津安二郎展」
 映画のポスターや原稿の類は勿論のこと、細かく予定が記されているメモ帳、モンブランの万年筆、トレードマークの帽子や撮影時の椅子、愛用の眼鏡やパイプ、三揃えのスーツや靴下まで展示されていた。
 普段から脱力して生活しているのだけれど、数々の名作が鎌倉で製作されているのだから今後多少は意識して街を歩いてみようかと考えた。
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 その後、自宅で珈琲を飲みながらCD鑑賞。
 友人未聴というPヤルヴィ指揮のハンス・ロットのあまりにマーラーな旋律に爆笑。
 楽しい時間はあっというまに過ぎてしまった。
 
 そういえば文学館がロケ地として使用したドラマが少し前に放送されていたそうで、現代版の「カラマーゾフの兄弟」とのこと。知らなかった。
 先日の雪が嘘のよう。暖かい火曜日の出来事。