エレクトラのDVD

 エレクトラのDVDを入手。昨年のエクサンプロヴァンス音楽祭(シェロー演出・サロネン指揮・パリ管)
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 youtubeで充分とは思っていなかった。やはり美しい映像を獲得するのは感慨深い。
 シェローのインタヴューがボーナストラックとして収録されていた。
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 輸入盤なので英語の字幕設定にしてリモコンで止めたりしながらゆっくり画面を見つめた。最初の「エレクトラとは?」のような質問に対して巨匠は暫く沈黙。驚いたことに涙ぐんで言葉が出てこない。僕にはシェローこそ言葉の人。映画舞台では見事な沈黙(行間)構成を手がけるものの、人としては沈黙を嫌い常に何かを思考し隙を感じさせないはずだったのに、このときばかりは何を思っていたのやら。病魔が身体を蝕んでいて、もしかしたら傷みと戦いながらのインタヴューだったのかもしれない。顔の浮腫みと頭髪は抗癌剤の副作用だと思う。その後ホフマンスタールについて雄弁に語り始めたけれど、ほんの少し先に訪れる悲劇的な未来を象徴しているようで、こういうのはこちら側も辛い。
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 実はこの1日で睡眠やら猫の世話以外の大半の時間エレクトラを鳴らし続けている。美しいけれど引きのない大きな音ばかり。狂ったように叫び演じるヘルリツィウス。泥臭い人間ドラマ。
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 カーテンコールではマイヤーに促されステージに登場したシェロー。(髪は染めていたのだろうな)誰よりも早く舞台を走る。誰が末期の癌だと気がつくであろうか。
 
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 鳴り止まない拍手の中再登場。
 ヘルリツィウスとサロネン、いい仕事をしてくれました。
 クンドリーもシベリウスも必ず聴きに行きます!
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 DVDのラストは演出家の笑顔で終わる。
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 これは何度観ても涙腺が崩壊。なにもかもどうでもいい気分。
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