Marc Albrecht Wagner Die Meistersinger von Nurnberg

 前回の記事でマルク・アルブレヒトローエングリンについて触れ、そこで2013年マイスタージンガーの批判じみたようなことを書いてしまった。それが気になって再度検索してみたらまだウェブラジオ上で生きていたので改めて聴いてみた。どうやら間違えていたみたいで、好みの問題もあると思うのだけれど、素晴らしいワーグナーだった。つまり前に聴いたときはこちらのコンディションが悪かったとしか考えられないから、お詫びかたがた訂正させていただきたい。
 19時に前奏曲を鳴らしたら当たり前だけれど終演は夜中で、体調と相談しながらもいかに自分が暇な師走を過しているかを証明しているみたいで嫌になるが、マイスタージンガーは生きる喜びに満ちた作品。なんとなく中学生のときにFMで初めてバイロイトの本作品を聴いたときに覚えた切なくも温かみに満ちた人間ドラマが、ごく自然に、しかもさりげなくアムステルダムで構築されていたのだな。不思議と感慨深い。
 以下のキャスティングとデータなのだけれど、ほぼ全員知らない歌手ばかり。映像に非ず音だけだから舞台上で何が行われているのか想像するしかないけれど、己の頭の中で理想を思い描くのも悪くはない。
Richard Wagner
Adrian Eröd (Sixtus Beckmesser; bas)Agneta Eichenholz (Eva; sopraan)Alastair Miles (Veit Pogner; bas)Brian Galliford (Balthasar Zorn; tenor)Frans Fiselier (Hermann Ortel; bas)James Johnson (Hans Sachs; bas-bariton)Marcel Beekman (Ulrich Eisslinger; tenor)Mattijs van de Woerd (Konrad Nachtigall; bas)Pascal Pittie (Kunz Vogelgesang; tenor)Reinhard Alessandri (Augustin Moser; tenor)Roberto [Walther von Stolzing; Sacca (tenor)Sarah Castle (Magdalene; sopraan)Thomas Blondelle (David; tenor)Thomas Oliemans (Fritz Kothner; bs)Tijl Faveyts (Hans Foltz & Ein Nachtwächter; bas)Tom Haenen (Hans Schwarz; bas)
Dirigenten:Marc Albrecht Nederlandse Opera 20 juni 2013
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                            (ニッパー猫チビ)
 マルク・アルブレヒトはこれまで自分にとって不利な要素が働いていた名前で、というのはアルブレヒト=ゲルト・アルブレヒトの存在が大きかったことが影響している。デニス・ラッセル・デイビスとサー・コリン・デイビスでも似たような関係があって、2人の巨匠(ゲルトとコリン)は亡くなってしまいリセットできたけれど、今後ぺトレンコが同じような立場に浮上したような気がしなくもない。ラジオで聴いただけだから判断もなにもないがキリルは要注意人物だと思っている。関係ないが一時期エサ・ペッカとユッカ・ペッカで混乱し、インキネンの出現でF1のハッキネンを思い出したり場合によってサルミネンだったり北欧は僕を混乱させる。関係ないがオランダにスケベニンゲンという町があって、もしかしてスケベニンゲン出身のインキネンさんとかいるのかな?などと無意味なことを考える。
 
 マルク・アルブレヒトはドイツ人で現在50歳。
 見た目はフランス映画に出てくる役者のよう。アングラートに似ている。
 日本のオケも振りに来ていたこともあるようだけれど「マルクが素晴らしい」という話を一度も聞いたことがなかったから興味もわかず意識すらしていなかった。それで今回のといってもラジオだけれど、ローエングリンマイスタージンガーから見えてきたものは「センスのある現代的協調性と害のない主張。」・・政治家的営業職のティー○マンと立場が逆になってしまえばいいのにとか思う。最も関心を抱いたのは、音楽が劇的なところ。ただ強い緊張や感動を強制する派手なものではなく、ワーグナーなら言語の壁を乗り越えて音楽だけでも充分に劇を感じられるよと語りかけてくるような分かりやすさ。もしかしたらこのようなカペルマイスター的?生き方を社会は求めていないかもしれないけれど、誰かがどこかで果たさなければならない重要な役割なのです。
 ワーグナーをはじめて聴く人にマルクはぴったりだと思う。
 ということでミンコフスキー等の別格は除外して、個人的な3大巨匠(2014年12月現在)はマルク・アルブレヒト、シェーンバント、ロレール。笑ってしまうほど地味な指揮者ばかり。
 でも自宅で鑑賞するとき僕は心地よさを求める。
 
 
 追伸、動画を見つけました。お化け屋敷のような演出。