北海道の珈琲
元旦から5日間北海道にいた。最初の2日間は山海の珍味に日本酒と箱根駅伝。
1月4日かねてから興味のあったジャンプ大会。雪印メグミルク杯は凍てつく寒さの宮の森ジャンプ台。
控室から出てきた高梨沙羅選手があまりに小柄なことに驚きつつ、軽々K点を超えるジャンプにアスリートだなと思った。男子を含めて彼女だけが異なる次元の住人と感じられた。
この感覚は音楽会とCDの違いみたいなもので、コタツに入りながらテレビ観戦では伝わりっこないというか(こんなとんでもない競技を考え出したのは誰なのだろう。)大いなる自然に抱かれて青空を舞う鳥の如し。
ジャンプ競技はメンタルだけでの解決は不可能。ボクシングのリングのように逃げ出すことのできない修練の場なのだと実感した。生で観戦する事をお勧めしたいのは、泥臭く皆が懸命に戦っていることが見えてくるから。
美しき放物線は人の心に入り込む。特に順位が決まる2回目の大詰めは想像以上の緊張感だった。
今回の滞在には他の目的もあって、そいつは珈琲屋巡りなのだけれど、お正月だから開いていないかなと思いつつ、ジャンプアフター円山公園からスマホで地図を確認しながら約1時間かけて(地下鉄含む)「リヒト」に向かった。(慣れない雪の影響でこの日の夜小生は熱を出してしまった。)
今の時代美味しい珈琲を飲める店は沢山あるけれど、皆の住んでいる社会から離れた場所で焙煎行為にとりつかれた奇妙な人種がいるのです。
傾向としては
①ネットの情報があてにならない。
②チェーン店化していない。
③変人が多い。・・可能性が高い。
なんとも中途半端なシャッターの降り具合に嫌な予感。
店の中には年配のご婦人がいて
「私は大家なのだけれど、リヒトさんね12月末で店をたたむと言い出して、荷物置いたままいなくなってしまったの。連絡先もわからないし行方不明みたいな感じ。昨日荷物を取りに来ると言っていたのに姿現さなかった。・・・」 どうやら飲めない運命らしい。
疲労のあまりタクシーに乗り地下鉄駅まで移動。
知人の焙煎士に「リヒト行方不明」とメール送信。
「お遍路に出かけたのかもしれない。」と返信されてきた。
滞在最終日、17時新千歳のフライトだったので、もう一つの珈琲にとりつかれているらしい「斉藤珈琲店」を再び訪問。実は1月3日は休みだった。この店の元オーナーは一昨年他界しているらしいのですが、鎌倉の少しばかり有名なカフェ経営者(僕と同じ苗字)の師匠だったと何かで読んでいたのです。
感じのいい若いご夫婦らしき2人がいて(息子さんだか娘さんご夫妻かな?)
「どちらからお越しくださったのですか?」・・「神奈川県です。」・・「わー嬉しい!」
ここの珈琲は苦味と酸味がピリッとくるけれど、角が丸く、豊かな香りが素晴らしい。
市電に乗りすすきの経由で札幌に向かおうとしたら途中で中古レコード屋を発見したので潜入。
ホグウッドの「ブランデンブルク協奏曲全曲」1,000円、バレンボイムの「26番戴冠式&27番」200円、コレギウム・アウレウムをラインハルト・ペータース(懐かしい名前)が指揮しアメリンクが歌っている「結婚&珈琲カンタータ」200円を購入。
夜、帰宅してから今年になりまだ音楽を聴いていないと気がついて、バレンボイムの変ロ長調を2015年聴き始めに選曲。珈琲を啜りながらジャケット内の解説を読んでみたら「27番の楽譜には1月5日の表記がある。」と書かれていた。それって今日じゃないかと思った。