「黄昏」その後

 バイロイト音楽祭のラジオ放送「神々の黄昏」 これで全て聴き終わったことになるが、異常な疲労に襲われてしまい数日間ブログを書かないままで過していた。それがまだ半分継続しているコンディションなので今回は細かな感想を避けることにさせていただきます。ただペトレンコの作り出す音楽は聴衆の心を鷲掴みにした様子。歌手陣に対しても概ね高い評価が獲得されたとカーテンコールの音声から判断できた。個人的には失望とまではいかないものの、あそこまで大騒ぎのブラボーはいかがなものか?程度の反動。それと3幕のそれでとりわけ大きなブーイング(聴衆全員レベル)は演出カストロフに向けられたものでしょうが、単純に刺激的で面白いと思った。
 それから日曜日の深夜3時15分からカテリーナ・ワーグナーの「トリスタン」新演出動画が配信されていたそうですが、午前中から仕事だった関係でさすがにパス。アーカイブがないみたいなので若干の心残り。ただ音声のみの判断から今回は「マイスタージンガー」や何年も前のブタペストだったか?「ローエングリン」ほどに尖がった舞台ではなかったと想像。たぶん近い将来youtubeとかで観れるように思う。
 と思っていたら、ブロ友から既に「トリスタン」がアップされていると教えていただきました。
 興味深い舞台。なんと薬を飲まない!純粋に男女の欲望が投影されているとすれば、それはよりいっそう強固な結びつき。真実は悲劇的象徴として開花する。ティーレマンも悪くはないと思う。2幕以降はこれから鑑賞。
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 昨日ちょっとした用事があって新宿のエルタワー。
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 ところで今月23日のサントリーホールでのチケットを購入した。大野和士氏指揮の都響「Zimmermann - Requiem für einen jungen Dichter (1967-69)」(B.A.ツィンマーマン: ある若き詩人のためのレクイエム<日本初演>。
 これを逃したら一生聴けない可能性が高いように思っている。
 評論家長木誠司氏のインタヴューが掲載されています。
 予習をしなければとMギーレンの録音を何度も聴いているのですが、いわゆるコラージュでイゾルデ「愛の死」やらビートルズの引用(どうでもいいがポール・マッカートニーそのまんまの引用なので版権問題から僅かながらも金銭の授受が成立しているのだろうなとか考えた。)しかし、これほどまでに複雑怪奇な作品を僕は知らない。テキストに関連があるので久しぶりに「ユリシーズ」を開いてみたけれど、元々が訳のわからない作品だから当日は感覚を優先させて聴いたほうが良いのだろうと考えている。朗読は日本人の役者が担当だからおそらく日本語で披露され(丸谷才一の翻訳かな?)そこに合唱と過去の政治的メッセージや哲学等の不可解なテープが絡み合ってくるのでしょうから、字幕があったところで莫大なテキストの分量に思考が追いつくはずはない。なにせ原語の知識がないものですから、一人称で語られるもう一人の主人公妻の独白がリフレインされるのかな等と勝手に想像している。
 
 ご参考までにyoutubeにあったものを貼り付けてみました。
 理性を疑われても構わない。ただ、つくづく好きな作品だと思える。
 実演に期待はしているけれど、どれだけ緊張感に満ちた世界を再現ができるものか極めて疑わしい。
 たぶん合唱団には数人の知人が参加しているように思うのだけれど、さぞ難儀なことでしょう。
 

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 但馬珈琲店で水出しを注文。一日の終わり。