ウィーン その3

 数日間忙しくブログのことを考える余裕がありませんでした。
 こんな僕でもそれなりに仕事や用事があるのです。

 帰国して1週間以上経過してしまうと肝心なことを忘却したような気がしますが、とりあえず3日目(4日目か)の報告です。
 行きたかったレストランにランチの予約をしていたことからホテルでの朝食をパス。とりあえずモーニング珈琲だけはいただきたかったからキーを預けてからお気に入りのカフェでモカのラージサイズ。10時位だったので空いていた。店名は内緒。僕が一番好きなカフェである。 
イメージ 2
 その後ケルントナー近辺を散策し、予約していたグリーヒェンバイスル。
 ここのお店は初めてウィーンを訪れたときから入ってみたいと思い続けてきたので感慨深いものがあった。
イメージ 1
 詳しくは調べていないけれど、もの凄く古いレストランで数多くの芸術家が常連だったとか。 
イメージ 3
最初から肉料理しか考えていなかったから、とりあえず定番のハンガリー風煮込み。
イメージ 4
 もう一品と真剣に考えてラムをチョイス。+パンとビール。
イメージ 17


それからアスパラガスのハーブ入りサラダ。料理はもちろんシェアしたが、朝食を抜きにして正解だったのは生まれながら日本人とオーストリア人は身体の構造が異なるわけで、これだけで1日分の食事を全て吸収したような満足感。とても美味しかった。
 そういえばグリーヒェンバイスルで差別的扱いを受けたらしい人の書き込みを後日発見したのですが、個人的感想としてそのような雰囲気は微塵もなく、むしろ最も素晴らしいサービスの一つを当店から見出した。
イメージ 5
 食後ついでに名物でもある奥の部屋を見せていただいた。様々なアーティストのサインが壁一面に書かれていて、小太りのオヤジが得意げに説明してくれた。パヴァロッティモーツァルトレッド・ツェッペリン・・こっちはエゴンシーレ」・・俄かに信じがたい有名人ばかりだが、気になったのはシーレの真下に堂々と書かれている<假屋崎>・・いいのかな?
イメージ 6
 小太りオヤジはひととおり説明を終えると突然語りかけてきた。
 「どこから来たの?」  「日本だよ。」  「俺はセルビア出身なんだ。」  「?」  「ジョコビッチは世界一強いんだお前もマイアミオープンを見ただろう!最近は日本人も強くなってきたけれどね。あの選手の名前はなんといったかな?」  「ニシコリ。」  「そうだった、ニシコリだ。」

 なんてちょっとした国際交流があったりして。そういえば似たようなあれで、オペラハウスのチケット取りに行ったときにBGMでローエングリンが流れていて、思わず口ずさんでしまったら受けつけ係りの紳士も同じフレーズを口ずさんでいて視線を合わせてニッコリ。ちなみに第1幕白鳥の騎士登場の場面である。
 その後の行動はどうしたんだっけかな。前後関係が曖昧ですがデメルで珈琲飲んでいたら向かいの銀細工店のウィンドウの中に「銀の薔薇」を発見!お土産関係で欲しいものがそれほどないなか「これは欲しい!」
 店主に直接見せてもらうも予想以上の高額。値切り交渉も虚しく断念。今思えば買ってしまえばよかったような気がしますが、次回があれば課題とすることにいたします。
イメージ 7
 それから時間にもゆとりがあったので、懐かしき美術史美術館を訪問。実はこれが原因で鬱ナルコレプシー悪化。様々な名画からエネルギーをもらいすぎてしまい鑑賞後ダウンする俺。
イメージ 8
 ホテルに戻りアラームをセットしベッドに倒れこむ。

 国立歌劇場でヤナーチェク「イェヌーファ」
イメージ 15


 Jenůfa
 Leoš Janáček
 Text von Leoš Janáček, nach Gabriela Preissová
 Ingo Metzmacher | Dirigent
 David Pountney | Inszenierung
 Robert Israel | Bühnenbild
 Marie-Jeanne Lecca | Kostüme
 Mimi Jordan Sherin | Lichtgestaltung
 Renato Zanella | Choreographie
 Christian Franz | Laca Klemen
 Marian Talaba | Stewa Buryjia
 Angela Denoke | Die Küsterin Buryja
 Dorothea Röschmann | Jenufa
 Aura Twarowska | die alte Buryja
 Il Hong | Altgesell
 Alexandru Moisiuc | Dorfrichter
 Donna Ellen | Frau des Dorfrichters
 Hyuna Ko | Karolka
 Lydia Rathkolb | Schäferin
 Ulrike Helzel | Barena
 Annika Gerhards | Jana
 Maria Gusenleitner | Tante
イメージ 9
 品格が漂っている。当然のことながらお洒落をして入館。 
 マーラールームにマゼールの胸像。死んでしまったことを改めて痛感す。
イメージ 10
 ちょいと横ですが乗り出せばほぼステージが見える1列目。45€くらいだったかな。
 このチケットを購入して正解だったのは可笑しな観客がほとんどいなかったということ。
 当たり前かもしれないけれど、わざわざブラックマーケット経由でイェヌーファなんか観にくる観光客なんかいないでしょうし、僕は純粋な芸術体感を期待したのです。しかしながら5~6人の音楽を聴いたこともないような集団日本人が席を探していて、頭からカメラ提げたりしてダサいと申しますか「なんて人の作品なのかな?」とか話ているから、視線が合っても外国人のふりをしようと思いながら、きっと我慢しながらヤナーチェク聴くのだろうなと想像した。トスカだったらオペラをお好きになられたかもしれない。
イメージ 11
 実はDavid Pountneyの演出は関心が無かった。ただMetzmacherの指揮だったしフランツと憧れのデノケが出演だったからそれなりにワクワクした。実際舞台装置は大掛かりだったけれど(地方のセメント工場みたい)動きはいたってノーマルな内容。でもガブリエラ・プライソヴァー原作による東欧特有の悲惨な雰囲気は壊していない印象で、少し前から思っているのですが、あの地方の良く言えば文化だけれど風習以上のオキテ的な気だるさは全体的にうまく表現されていたように感じられた。もしかしたらもっとプリミティブな装置の方が真実味が出たかもしれないかな。
 演奏は世間がどう判断するか知ったことではないが、日常的な昨今のウィーン舞台としては最上級の一つと判断しても良いような気がしていて、これはメッツマッハーの功績によるところが大きいと思うのは、直ぐに手を抜く可能性の高いオケが本気に演奏しているように感じられたし、歌関係のアンサンブルは時々崩壊したけれど今の僕には充分贅沢な体験でした。これ以上の精緻なバランスを求める人はCDだけ聴いていればいいのです。
 不思議なのはメッツマッハーだと民族的な泥臭いリズム旋律もどこか洗練された響きに感じられ、それがヤナーチェク的なのかどうか未熟な僕にはわからないけれど、いつまで聴いていても疲れない世界は好ましく思われた。
 写真はカーテンコール。
イメージ 14
 主役のDorothea Röschmannは随分大きな喝采を受けていましたが、昔のベニャチコヴァみたいに時々喉声丸出しになってしまうところが気になって仕方がなかった。
 フランツは驚くほどデカイ声だった。おそらくワグナーなんかに比べると時間も短いから楽勝なのだと思った。
 しかし最も素晴らしいのはデノケ。もう一気にファンになってしまいました。
 ということで、写真は「デノケと俺」
イメージ 12
 そして「フランツと俺」
イメージ 13
  
 ついでにメッツマッハー
イメージ 16