プラハ国立歌劇場「ノルマ」11月3日


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 11月3日、グルベローヴァのノルマを聴きに愛知芸術劇場まで行ってきました。
 名鉄の改札で名テナー故山路氏の姉上と待ち合わせ。
 数年前に引退発言をしていた歌姫がどのような心境で歌い続けているのか細かなことは知りませんが、とにかく日本までわざわざ、しかもノルマですから聴いてみたいと思ったのです。
 僕もそうだけれど、山路姉上にとって久しぶりのグルベローヴァだからワクワクしていたご様子。
 開演前珈琲を飲みながら、ノルマがわからないという姉上に簡単なストーリーを説明。
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 姉上 「終わってから会ってくれへんかな?」
 JH  「どうでしょうね。」
 姉上 「プレゼントしたいもの持ってきた。鳥羽の真珠のネックレス。」
 JH  「エ~!」
 姉上 「で、お願いがあるにい。グルベローヴァさんがわかるように手紙書いてえな。」
 JH  「・・・」
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 その後、オペラ休憩時間等を使い、自分でも理解できない横文字の手紙をどうにか完成させた。
 結果からお話すると、当初は予定されていなかったサイン会が行なわれることになったもんだから、列に並んで直接歌姫にプレゼントと手紙をわたすことができた。
 でも、以前会ったことがあるといっても、その他ファンが大勢いたから、僕の更に理解できない英語とドイツ語と日本語の交じり合った奇怪な言語で話しかけた。・・そしたら奇跡的に通じたみたいで、グルベローヴァは笑顔で立ち上がり姉上とハグ。真珠と聞いて驚いていた。
 非常に疲れたけれど、おそらく秋に入り行なった数少ない良い出来事の一つではないかなと感じた。
 もしかしたらと持参した「ロベルト・デヴェリュー」のCDにサインしていただいた。これは数年前にブロ友nemoさんが千葉?かどこかのBオフから「500円で売っていますが買っておきますか?」とメールをくださって僕の手元に届いたもの。たぶんご本人は購入した記憶はあっても、それがなんのオペラなのか知らないのでは?
 nemoさん、とにかく店舗でタダに近い適当な扱いを受けていたCDが最高に輝いたのです。
 (思い返せばグルベローヴァからサインもらったのは5回目。そのうち2つは山路さんに差し上げている。)イメージ 2
 その後「今日はおごらせてーな。」と嬉しいお誘い。名古屋コーチンが披露される展開となった。
 美味なり。

 それでノルマですが、とても良かった。
 ブログやツイッターで世間の感想を読むと「昔に比べ・・」とか色々書かれているけれど、物事を特に音楽を過去や他人と比較する聴き方はいかがなものか。ベッリーニをノルマをどのように感じたかが大切に思うのです。 
 それ以前に「お前ら文句言うなら自分で歌ってみろ!」と言いたい気分。
 僕はあれだけ歌える70歳を他に知らない。
 ちょっと驚いたのは演技力の素晴らしさ。ノルマが憑依。葛藤と悲しみを全身で表現していた。
 躊躇なく喉声で「ローマ!」・・最後の「それは私です」の遠くまで届くPPでは涙が出そうになってしまった。
 過去はあまり興味ないけれど、今でも歌い続けているのは「役者としての完成形」を追い求めているからではないか。それらが異国の女、ロベルト・デヴェリュー、アンナ・ボレーナ、ノルマ等のいわゆる狂乱オペラであり、誰もが獲得できない稀有な世界だったのです。
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 それから他の歌手もそこそこ素晴らしいと感じられた。
 ポリオーネは期待していなかったのですが、テノール馬鹿セピア程度の貫禄があって気持ちの良い歌声だった。アダルジーザは豊かな響きだったけれど声の揺らぎが途中から気になってしまった。
 プラハのオケと合唱はそこそこ満足しました。ただピットの楽器配置で金管が右側に集中、右の耳からばかり大きな音が響いてしまい少し聴きづらかった。
 演出はわりとノーマル。あまり面白くなかったけれど、初めて劇場に来た人にはわかりやすかったこでしょう。

 続きを書きたいが、草臥れてしまいました。

 おやすみなさい。